The secret






「工藤君じゃないですか」

「あれ白馬・・・・・いつ日本に帰って来たんだ?」













 寒い日の夜。

 久々に、怪盗キッドが予告状を出してきた。









 ・・・この前現れたのは夏の初めだったから、約半年と言う所か。



















「お久しぶりです。元気そうで何より」

「ホントにキッドが出るとこには現れるなあ、お前」

「そうみたいですね」















 新一に声を掛けてきたのは白馬探。

 同い年だが、中学も高校も違った彼を知っているのには訳がある。



 それは彼の父親が『警視総監』という肩書きを持つ人物だからだ。

 







 好奇心旺盛な所は新一と同じで。

 彼もまた幼い頃から父親の仕事に興味を持ち出し、父親への用事で警視庁に来た時に新一と会う事が多かった。



 最初はやっぱり、何となくいけ好かなかったが。

 ホームズフリークという点で次第に話題も合うようになり、今日に至っている訳である。













「親父さんが呼んだのか」

「違いますよ。僕が帰ってくる時にたまたま彼が予告状を出してくるだけです」

「―――――・・・・これで何回目だと思ってんだ?」

「奇遇ですよねえ」















 新一の疑いの眼差し。

 でも、探は薄く微笑うだけだ。

 

 現在、彼は英国の大学に留学中。

 小さい頃から向こうに住んでいた探が何故『キッド』の存在を知っているかと言うと、やっぱりこれも父親の影響であった。







 郊外の大きな美術館。

 その警備はやはり大がかりなもので、中森警部を筆頭に忙しなく警官達が動いている。



 新一と探は敷地内の中庭のベンチに座った。













 ・・・・・夜空に、星が浮かんでいる。





















「今日はまた寒いよなあ―――――――・・・・あいつさあ、夏服・冬服ってあんのかな」

「どうでしょう」

「そういや、何で予告状なんて出すんだと思う? わざわざ盗みにくい状況作るなんてさ」















 新一は星を見上げながら呟く。

 探は少し考え、言葉を出した。













「余程自信があるんでしょう。実際彼を誰も捕まえられない――――・・・この僕でさえ」

「そーだよな。お前が今まで捕まえられないのってキッドくらい?」

「恥ずかしながら」















 でも、その様子は少しも残念そうには見えなかった。

 だから新一は眉根を寄せる。



















 ・・・・その時、風が2人の髪を揺らした。





 同時に探が立ち上がる。



















「白馬・・・・?」

「工藤君。君はひとりで戦ったことがありますか」

「は?」

「誰もそばにいない、味方は自分自身だけ――――――・・・・・そういう状況にいると、無性に人との関わりが欲しくなる」

「・・・何、言ってんのお前」





















 また探は微笑う。

 でも、今度はどこか哀しげに。















 返す言葉が出ない新一。





 ・・・その時、表玄関付近で『キッドだ!』という声が聞こえた。
































Fin


>>>新一が白馬と会っている間、平次が出くわしたのは? 内容がリンクしている
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