キスは待たない





「工藤はキスが好きやなー」

「・・・まあな」

「もしかしてヤるより好きやろ?」

「そう思うか?」

















 まどろみ。

 雨の夜の、ひと波終わった余韻の中。





 2人は寝そべりながら一服し合う。



















「せやかて・・・お前からしてくれんの、キスだけやんか」





















 平次は少しふてくされる。

 いくら攻めて焦らしても、新一は決して自分からは動かない。



 ・・・自分から、上には乗らない。

















「俺、必要以上に疲れることしたくねーもん」





















 枕に肘をつきながら、ふーと煙を吐く。





























 どんなに乱れても。

 意識を、手放しても。





 新一は決して自分を失わない。















 快楽主義者な訳ではないし。

 『自分から動かないのに何を言ってるんだ』と言われても。



 それでも・・・・気持ち良いことは、とことん楽しみたい理不尽な性格。





















 ・・・・・我を忘れてたりなんかしたら勿体ない。





























「あ。拗ねてる拗ねてる」

「うっさいわ」

「いーじゃねーか。俺に不満でもあるのか?」





























 距離は、ほんの数センチ。

 お互いの肌は・・・とっくに触れ合っている。







 僅かに位置が下の新一。

 得意の、上目遣いに視線を投げた。





















「・・・えらい自信やんか」

「なあ・・・」

「しゃーないなあ・・・・」

















 ごそごそと布団の中が動く。

 新一は、平次の状態を確かめたのだ。



 結果、準備オーライ。

















「まだ雨やまねーな・・・」

「そんなん、気にならんようさしたるわ」

「オラ。最初は違うだろ」

「はいはい。ほんまキス魔やな――――――・・・・・」























 顔を上げ窓の水滴を眺めたとき。

 平次が、新一の肌に吸い付く。



 しかし頭を抑えられ次に促されたところは・・・











 ・・・やっぱり口唇だった。





































 マジで・・・たまんねーんだよ、お前のキス・・・・・





































 一番、服部が近くにいる。

 一番感じられる。



























 好きな瞳も。



 体温も。

























 ・・・どんな絶頂よりも、俺が一番気持ち良いもの。

































 最初はただ触れ合うだけ。

 次に舌を絡めだし・・・ ・・唾液が行き交い。







 身体の奥から湧き上がる、甘い疼き。































「・・・・・っ・・・」

「素直なんは、こん時だけやもんなぁ・・・・」



























 ちらと盗み見る新一の表情。

 眉をしかめて快感を耐える姿は、とてつもなく淫らだ。



 汗が、滲み出るだけの肌。

 余計に赤く火照り平次の欲情を煽る。























 ・・・・新一は、僅かに口の端を上げた。





























 両手で包んだ目の前の顔。

 新一の、確かに今一番好きな顔。

































 キスは、好き。





 気持ち良いことは、もちろん好き。































 ・・・・・・・お前が好きだから、キスが好き。





















Fin