素直な季節




「寒いなあ」

「そうだな」

「・・・・もう午後の3時やで?」

「そうだな」











「どっか・・・・出かけたり、せえへんの」

「何か用でもあんのか?」

「・・・・・あらへんけど」

「じゃ、いーじゃん」



















 窓が、カタカタ鳴っている。

 今日は風が強い。







 ・・・昨日とはうってかわって、気温が16度ほどしかないらしい。





















 かといってまだ暖房器具を出す頃合じゃないし。

 セーターを着る、季節でもない。





 ものすごい中途半端な10月の終わり。

























「服部、そこのクッション取って」

「へ?」

「なんか・・・・眠くなってきちまった・・・・ちょっと寝る」

「え、ちょ、ちょお工藤??」



















 フローリングに転がっていた真っ赤なクッション。

 それを受け取り、ころんと新一はそれに頭を乗せる。



 そして軽い欠伸をした。

























 ・・・・すぐに吐息が聴こえてくる。





























 今の今まで新刊の推理小説を読んでいた新一。

 眼鏡が掛けっぱなしだったから――――・・・・・苦笑しつつ平次はそれを外した。







































 せっかく休日なのに。

 今日は、朝一番に来たのに。



 久しぶりに逢ったから、一緒に出かけようと思っていたのだが・・・・


















 ・・・・新一は、ただ部屋で時間を過ごしていた。





























「・・・・・・・・・」


























 ――――――――・・・・最近眠れねえんだ。























 そんなメールが携帯に入っていたから。

 ・・・・・・だから、自分は大阪から飛んできた。









 立て続けに事件でも起こっていたのか。

 それともまた、色々考え過ぎて頭を悩ませていたのか。




 電話やメールじゃ語れない事を、直にあって聞き出そうと思っていたのだ。



























「・・・・・なんや。眠れとるやん」





















 寝顔まで整っている工藤新一。

 






 ・・・・・そっと、近づく。

























「俺は良薬やからな。しっかし・・・・来て欲しいんなら、素直にそう頼めっちゅーねん」

























 平次には、とっくに解っている。















 自分がこうして来たから。

 そばに、いるから。





 だからこうして新一は眠りにつけている。



























 額にかかる前髪をそっと払う。

 少し、新一が身じろぐ。



















 そしてゆっくりキスを降らせると――――・・・・自分も、隣に横になった。


































ひとくぎり



























 別に、2人でいられればそれでいい。













 他に、特別することがなくたって。

 会話なんてしなくたって。























 気配さえ、感じられれば・・・・・・・・・・

























 そんな甘ったるい考えで新一が行動を起こすのは、毎年この季節だけ。

 だから平次は、無条件にこの季節が好きだったりする。





















Fin