日曜の朝





 その日は、久々の晴天。

 何日か振りの天気。



 新一は窓のカーテンを開ける。





















「おい服部、すげーいい天気だぜ」

「・・・・・・ホンマや眩しいなあ」

「やっと洗濯物外に干せるな」











 広い背中がのっそりと新一に寝返る。

 その生活感溢れる台詞に平次は苦笑しつつ、目の前の身体に擦り寄った。









 ・・・・背中に、何か当たる。



















「―――――・・・・朝から元気だな」

「せやかて工藤の肌気持ちええんやも~ん」

「はいはい。コレで我慢しろ」

















 くるっと顔を返し、新一は平次の頬を包んで軽く口唇を合わせる。

 そうして微笑った後、その身体を乗り越えベッドを降りた。










「続きは?」

「お前もさっさと着て手伝え」

「休みの日くらいゆっくりしようや~」

「休みだから忙しいんだっつの! オラ! 俺、洗濯モン干してくっから、お前掃除機!」

















 あっという間に新一は着替えを済ませる。



 服を纏うと更に際立つそのスタイルの良さ。

 本当に、何度、何回見ても飽きない『工藤新一』。





















「・・・・・見んな」

「ん?」

「そんなに、見んなっつってんだ!」

「ええやん減るモンやなし」

「お前に見られてっと―――――・・・・なんか生気吸い取られてる気がして、苦しい」

「へ?」

















 クローゼットの前。

 扉に手を掛けながら、新一は大きく息を吸う。















 ・・・・その瞳は軽く伏せられ。

 眩しい日差しで誤魔化されているが、頬に赤みも見え・・・・・・









 その手は確かに、少し震えていた。



























 平次は瞬間、動きが止まる。

 新一はそのまま背を向け部屋を出ていく。







 やがて、階段を下りる音が聞こえて来た。



























「・・・・・工藤て・・・・」















 平次は自分の頬を触った。







 熱い。

 明らに体温が上がっている。



















 ―――――――――・・・・・・・工藤って・・・・・何であないに・・・・・



























 そうして平次は崩れこんだ。

 新一の温もりが未だ残る、シーツに。















 ・・・・その感触が酷く心臓を高鳴らせる。































 ・・・可愛ええ。



 ホンマ、めっちゃ可愛ええ・・・・





















 アカン・・・・ちょお、治まりつかへんで・・・・・・





























 本当に、何度見ても見慣れる事が無いなんて。

 それどころか・・・・ますます惚れてる事を思い知るばっかりで。





 平次はそのまま枕に突っ伏し、身体の火照りが静まるのを待った。




































ひとくぎり































「・・・・・・・ちょっとやり過ぎたかな。まだ降りて来やしねえ」



















 客間に掛けてあった洗濯物。

 それを抱えて、新一は庭に出た。









 2階の自室の窓を見上げながら、竿に掛けかけてゆく――――――――――・・・・・

























 ・・・・・あんだけ喜ばせれば直ぐ掃除に降りてくると思ったのに。



 しまったな――――――――――・・・・逆効果かよ。

























 実は演技。

 ほのかに頬が『赤い』ように見せただけの演技。



 いつも何だかんだで2度寝する平次を、さっさと起こす為の。





















・・・・・演技だった、はずだったのに。

































「工藤!」

「?」



















 その時、呼ばれて向いた先は2階の自室の窓。

 勿論声は平次のもので。





 そして次の瞬間。





















「ば、馬鹿かてめえは!??」

「うっひゃー 赤くなっとるなっとる~♪」

「はっとり―――――!!!」

「あんま大声出したら近所迷惑やで~?」

「~~~っ!!」























 2階からでも、はっきりと解るその表情。







 さっきなんかよりも遥かに赤く。

 耳まで強烈に主張する『紅』が、平次にもしっかり見てとれた。























「ほな、今から行くで~」

「さっさと来て手伝え!」





















 ほーんま可愛いやっちゃな~



 そう平次は改めて思い、微笑いながらベッドを降り部屋を出て行った。






































ひとくぎり

































 その時の、新一。























「・・・・・ち、畜生・・・・・・やられた・・・・」























 止まれ高鳴り。

 静まれ心臓。







 新一が平次に喰らったのは『投げキッス』。

 それも、最も好きな『けだるい』表情付きだった・・・・・
































 ・・・それは、本当に天気の良い休日の始まり。








































Fin