なあ、服部・・・・・・










 俺はきっと、あの夏を忘れない。



























 俺たちが出逢うべくして出逢ったあの夜を。

 真夏の、夜の夢を。



























 ・・・・・・・この先、何があっても。












天国の週末[01]







「昨日、夢でさ」

「ん?」

「・・・・・・お前を見た」













 まどろみ。

 少し寒さ和らいできた、午前の闇夜。



 立て続けに応援要請を受けて、警視庁に朝から詰めていた数日間。













 疲れているのに妙な興奮は身体を火照らせ。



 ・・・・・・それを鎮める為に、今夜も2人はお互いの肌を貪りあったばかり。



















「それが日本じゃなくてさ・・・・・・砂漠、かな――――――――・・・・・・すっげー暑くて・・・・・・真っ黒な肌して、青い服着て黄金の飾り付けてた」

「ほー。そらまたカッコエエやんけ俺」

「ああ・・・・本当に綺麗だった」

「・・・・・は?」















 冗談で言った言葉。

 なのに新一が真面目に返してくる。





 その上・・・・・誰が、どうだって?

 平次は呆け、火を付けようとした煙草を落としてしまった。













「危ねえな。火ぃ付いてたらどーすんだ」

「く、工藤が変な事言うからやろ!」

「・・・・変?」

「そやろ! 何で俺が綺麗やねん?」









 きょとんと新一は目を丸くする。

 そして、笑い出した。











「工藤?」

「・・・・だな。そりゃそーだ。あははは、悪い悪い!」

「ムカツクやっちゃな・・・」















 笑い出す新一。

 面白くない表情(カオ)をして、改めて平次は煙草を咥える。




 そうして静かに火を付けた。






















 白い煙が・・・・綺麗に上に昇って行く・・・・・・・・・・・・・































 ――――――――――・・・・やっぱ、キレイじゃん。































「ん?」

「・・・・・・俺にも少しくれ」

「コレ? 新しいのやろうか?」

「お前のでいい」



















 平次の肌を見ていた視線。

 気付かれ、新一はそれを煙草に移す。



 口唇に挟まっている所から無理やり取り、それを思いっきり吸った。





















「う――――――――・・・・久々に吸ったらマズい」

「何や。止めとんのか」

「ちょっとな」

















 新一が顔を歪め微笑う。

 結局平次の口に戻すと、深々と布団に潜ってしまった。



















「もう寝るん?」

「明日も早えーんだぞ。充分だ」

「・・・・まだ足りてへんやろ。気持ち良く寝かしたるから」

「ちょ、もう―――――・・・・・っ・・・・・・」

















 隠れた肌を弄り、平次はその生暖かい舌を這わす。

 最初は抵抗を見せた新一だが、その感触に勝てるはずもなくすぐに腕を首に廻した。

















 角度を変えながら連続する口付け。





 ・・・・・既に眠ろうとしている身体に、程好い熱を呼び戻す。





























「お。復活~」

「・・・・掴むんじゃねえ」

「そんなん言うたかて好きなクセに。ほいほい~っと」

「違が・・・・・っ・・・・・」























 既に体力は残ってない筈なのに、自分の意思に反してそれは立ち上がる。

 しめたという顔をして握る手は・・・・・次に先端を遊び始めた。





















 新一の息が、だんだんと熱を取り戻してゆく――――――――――・・・・・




























「工藤・・・・・腕、ちょお緩めて・・・・・・」

「・・・・・な・・・・・に・・・・・?」

「そんなしがみつかれたら・・・・・入れられへん」

「!」



















 耳元で囁かれる事になかなか慣れない新一。

 いつもより数倍甘く低く言われるのだから、無理もない。



 真っ赤になり身体を離す。



















「極端やな・・・・そんな遠く行かんでも」

「いちいちうるせえよ! やるなら黙ってさっさとやれ!」

「ツレないやっちゃな~」

















 平次の言葉はいつも直接的だ。

 だから、新一は余計に熱が上がる。



 ケンカ口調に・・・・・なってしまう。





















 仰向けの平次に乗りかかっている体勢の新一。

 かかっていた筈の掛け布団は、今ので捲くれてしまっていた。

















「何や~ 早よ続きしよ」

「撫でるな!」

「せやかて、ええ場所に丁度・・・・・っと、見っけ」

「・・・・っ・・!」













 自分の腹の辺りにあった形の良い尻。

 平次はそこから手のひらを滑らすと、まだ勢いを残したままのそれを再び掴んだ。



 面白いくらい反応する新一。

 表情も瞬間に妖しくなり、平次の胸に倒れ込む。

















 ・・・・・・そうして暫くそのまま微妙な刺激を与え続けた。


























「も・・・っ・・・・・・さっさと・・・・・はっとり・・・・・・んっ・・・・!」

「キスしてや―――――・・・・・・工藤」

「・・・・・え?」

「俺なあ・・・・工藤にしてもらうと、むっちゃ興奮すんねん・・・・・・・・・な?」

「・・・・・ったく」

























 新一の表情は既に熱を取り戻している。

 

 平次から与えられる動きに連動して漏れる息。

 瞳をとろんとさせ、横たわる正面の男の頬を両手で包み・・・・・・ゆっくりと形の良い口唇を塞いだ。





























 ・・・・・・・・手のものを遊ぶ度、新一の声にならない声が平次の耳に届く。































 僅かに眉を寄せて快感に耐えるその表情。
















 滲む汗。

 絡み付いてくる腕。

















 揺れる前髪と吐息の漏れる口唇・・・・・・・・・































 それらを目と耳と身体で感じる度、どうしようもない疼きが内側から沸き起こり―――――――――・・・・


 またそれが新一にダイレクトに伝わるのだ。



























 平次は、こうして新一から与えられる『キス』が好きだ。


 なぜなら。













 ・・・・・・口唇が触れる瞬間の彼の表情を、見られるから。





























 気分が高揚している時の新一はやけに積極的で。

 自分の内から溢れ出る欲望を抑えきれず、何度も何度も平次の口唇を吸い舌を絡め求めてくる。





 だから平次は・・・・・時々目を開けてそんな新一を見るのが楽しみなのだ。































「そろそろ・・・・・行くか?」

「・・・・ん・・・・」

「今日はどないして欲しい・・・・・?」

「この・・・・まま・・・・・俺が上で――――――――――・・・・っ・・・・・ぁ・・・・・」

「おっけ」























 胸の上で新一が囁く。

 平次は微笑うと、やりやすいようにと身体を少し起こした。





























「・・・・・・・ええで」

「――――――――――――・・・・っ・・・・・・・・・・・!」





































 ・・・・・しなやかな身体がゆっくりと沈んでゆく。























 確実に平次を感じる事が出来るその感触。

 新一は艶めいた息を漏らしながら、仰け反り掠れた声を出した。





























「・・・・・・・・ぁ・・・・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・」





























 全てを受け入れると、今度は身体を上下に動かす。

 ・・・・・平次の先端が新一の内膜を刺激する。



 痩せてはいるが決して貧弱ではない身体が、綺麗に月の光の元で揺らぎ始めた。



















 平次は再び右手を強く握り、腰と連動させて絶妙なリズムで新一を煽る――――――――――・・・・・







































 ・・・・・・不規則だった吐息。



 やがてそれは、短い間隔で甘い声になり平次の耳に届き出す。

































「ん―――――――・・・・・・ええ、眺めや・・・・・」

「はっと・・・・・り、あ・・・・っ・・・・もう、いいから・・・・・・・はや、く・・・・しろ・・・・・・・・っ・・・・・・・」

「・・・せやなあ・・・・・・俺もそろそろ・・・・・・・・」



























 前からも後ろからも攻められ、新一はもう限界寸前まで来ていた。



 



 伸ばしてきた手を平次は取る。

 そして新一の肩口に顔を埋めると腰を押さえ、ぐいと身体を押し付け最後の波を与えた。






























「っ・・・・・!」

「――――――――――・・・・・っ・・・・・・く・・・・・・っ・・・・」



































 静寂な闇の中。

 ・・・・・聴こえるのは、たまに通る車の音。







 その他にどこからか音楽が聞こえた気がしたが。

 大して気にも留めず、そのまま2人はもつれ合ったままベッドに倒れこんだ。 




































ひとくぎり

































「は――――――――――・・・・・・・腰ガクガク・・・・・・」

「工藤は疲れとる時が一番やな」

「・・・・何だよそれ」

















 波が去ると一気にぬるい空気が身体を包む。

 互いの熱さと汗が急に生々しく感じられ、新一はいつもここで恥ずかしくなってくる。



 少し、身体を浮かした。

















「コラ。何で離れるん?」

「寝るんだから当たり前だ」

「・・・・・耳元で子守唄でも歌てやるし。もっとくっつこ」

「は? ちょ、ちょっとバカどこ触ってんだてめえ!」















 ・・・・・今更どこ触るもないやろが。

 そう思うが、もちろん声には出さない。



 本気で嫌がっている訳ではないから、そのまま平次は後ろから抱きしめた。

















「・・・・んな睨まんでも」

「暑い。どけ」

「ええやんか~ちょっとくらい」

「俺は眠いんだ・・・・邪魔、すんな・・・・・・・」

「工藤・・・?」

















 新一は既に
吐息をたてていて。

 ・・・・柔らかい髪をすくと、平次もそのまま目を閉じた。

























 工藤新一。そして服部平次。

 東と西の名探偵と謳われ、今も変わらず謎を追い続ける日々。



 新一の身にふりかかった出来事が、この2人を強く結びつけ――――――――――・・・・

 そして更に偶然と必然が重なりこの関係に辿り着いた。



























 ・・・・・・それは本当に、2人にとって何よりも難解な事件だった。