高校生の頃に俺達は出逢った。

 『俺』が『子供』の姿だった時に、出逢った。





 それから幾度となく旅先で一緒になって。

 その度に、事件に巻き込まれて。





















 ・・・・・・気が付けば、そばにいるのが当たり前に感じてた。



























 東京と大阪という遠い距離に住んでいたのに、ちっとも離れている気がしなかった。

 鬱陶しいくらいの存在感がいつもあった。

























 ―――――――・・・・・・いつもあいつは俺を心配してくれて、気遣っていてくれて。



























 それは俺が『子供(コナン)』の姿だったから。

 そう自分に言い聞かせてきたのに気付いたのは、いつの頃だったろう?

















 俺が『工藤新一』の姿に戻ったら、もうあの優しい眼差しを向けてくれないかもしれない・・・・・・・・















 ・・・・・・・そう思い始めたのはいつからだったろう。





























 だから俺は。


 ・・・・・元の姿に戻ってから、お前に逢う事を避けていたんだ。

































 そんな自分の真実(ほんとう)の気持ちを知ったのも、こんな夜。































 こんな風に。









 ・・・・・・・蒸し暑い、瞳の奥が熱く痛む夜だったんだ。



















天国の週末[04]



「覚えてるか? 俺さ・・・・・ずっとお前と蘭が一緒にいるの見るの嫌でさ」

「そーやろなあ~ 好きな女が、同い年の男としょっちゅう一緒にいるんやもんな。そら不安にもなるわな」

「うん、まあ・・・・・・最初は蘭と同じ目線に立てない自分がすげー嫌だったんだ。守りたい時に守れないで・・・・・守られてばっかでさ」

「蘭ちゃん強いんやし、お前は『コナン』やったんやし。しゃーないで」











 2人は川沿いの公園に来ていた。

 昼間は家族連れなどで賑わう場所だが、さすがに真夜中となると人の気配はない。



 向こう岸が良く見えるベンチ。

 そこに座り、買ってきたものを2人は食べていた。













「それが今じゃこーだもんな――――――――・・・・気付いた時はショックだったなあ」

「俺に惚れた事に気付くんがショックやったんか?」

「お前だってそうじゃなかったのかよ」

「・・・・・俺は安心したっちゅーのが強かったで」

「安心?」













 新一が怪訝な顔をする。

 ゴマ団子をほお張り、大きく頷きながら平次が缶ビールを飲んで続けた。











「最初にお前に逢うたんが強烈やったからな。毛利の事務所でちっさい工藤に逢うて、そんあと風邪引いて酒飲んだお陰で少しん間だけ『工藤』に戻ったお前が忘れられへんかった。そんで次に別荘で起こった事件ん時に『コナン』と『工藤』が同一人物やて解って・・・・・・・・まあ、そん時はまだ気付いてへんかったけど・・・・・いつもどこかで工藤ん事が頭に引っかかっとった」

「・・・・・」

「そん後は・・・・・・・・・めでたく工藤が元に戻ったって聞いて逢いに行ったらお前は熱出して寝込んどるし? せっかく一晩看病したったのに、プッツリあの夜から俺んこと避けよる。そーこーしとるうちに受験で東京にもよう行けんようになって・・・・・・・・・・・同しガッコに入ったって聞いてもあんまし逢う事もなかったのに、突然工藤に呼ばれてウチ連れてきて――――――――――・・・・・・・そんとき気付いて・・・・・・・・・ついしてしもた行動に納得したから安心したんや」

























 平次もずっと悩んでいた。

 












 いつもいつも。



 ・・・・なんでこんなに1人の人間が気になるんだろうと思っていた。























 大学が同じだと知って、でも学部が違う事もあって滅多に逢う事もなくて。












 あの時、新一の眼の事がなかったら。

 あの時新一が自分に連絡して来なかったら。

























 ・・・・・・・きっと気付かないままだった。

























 触れた手が熱かった。

 不安な瞳を見たとき、湧き上がる何かが自分を襲った。



 その時自分には付き合っている女がいたが・・・・・



























 ・・・・・・・新一が目を閉じた瞬間、自分の本当の気持ちを知ったのだ。



























「工藤。お前いま俺と居って楽しいて思うか?」

「・・・・何それ」

「ええから」











 珍しく真剣な眼差し。

 だから茶化さず、新一は真面目に返す。











「そうだな・・・・・・・こうしてるのは、楽しいかな」

「・・・・そうか」

「お前はどうなんだよ」

「俺かて楽しいに決まっとるやろ。視界に工藤がいるっちゅーだけで幸せや!」

「はいはい・・・・・で、それが何だって?」

「ん? まあ、そやな。心理テストみたいなもんや」

「はあ・・・・?」















 その時。

 夜空を見上げて、平次は思い出していた。























『・・・・・・・・服部。好きな奴いるだろ?』

『へっ』

『誰?』

『だ、誰て・・・・・・』

『なーんて事は別に聞かないけどさ―――――――・・・・・・・そいつといて楽しい?』

『はぁ?』













 そう聞いてきた黒羽快斗。

 見たことのない表情で平次に向けた、あの言葉・・・・・・・・・








 ずっと気になっていた。

 本当は逢っている時でも「楽しい」時は、ほんの少しの間だけ・・・・・・・











 ああ言ったけど。

 その気持ちに、嘘はないけど。






 ・・・・・・・2人は違う人間だから。



 決して、心の中までは解らないから。

















 たった今までキスをしていたとしても――――――――――・・・・・・

 『楽しい』気持ちよりも遥かに強い『不安』が心を占める。


















 いつまでこの関係は続いてくれるんだろう?

 いつまで、こいつは俺の事を好きでいてくれるんだろう・・・・・・・・・・・?




 明日はまだ・・・・・俺のそばにいてくれるんだろうか?



























 ・・・・・・・黒羽。





 お前も『苦しい』んか・・・・・・・・?





























 好きだけど。



 ・・・・・好きだからこそ、いつも逢っていても湧き上がるのは強い不安で。













 彼なら誰でも手に入りそうな気がするのに。

 一体、どんな相手に惚れていると言うのだろう・・・・・・・・?



















 だから聞いて来たのだ。






 だから、あんなに苦しそうな瞳をしていたのだ――――――――――・・・・・この新一を同じ様な瞳を。






















 え?





 ・・・・・同じ様な瞳・・・・・?




























「また快斗か・・・・・?」

「わ、工藤!?」

「――――――――――・・・・・・お前、ホントは・・・・・」

「ちゃう! 誤解すんなや!」

「・・・・・・最近、余計な勘ばっか鋭くなっちまってさ・・・・・さっきはワザと快斗の話したんだろうけど、今は本気で俺を忘れてたろ」

「・・・・っ!」

















 平次は言葉が出ない。

 いつの間にか自分を覗き込んでいた新一に、本当に気付かなかったからだ。















 でも新一は怒らない。

 

 しょうがない、といった表情で力なく微笑うだけ・・・・・・・・























 ・・・・平次は何だか怖くなる。























「どうした・・・・・・? 呆けて」

「え・・・いや・・・」

「俺が冷静なのが変か?」

「―――――・・・・・くど・・・・」

「だろうなあ・・・・・・・・俺が一番不思議だからなあ」
















 尚も新一は微笑う。

 見えない視界だけど、目の前に広がっている川向こうの広大な宇宙に、微笑う。













 その目は確かに平次を映してはいない。

 けれども。



















 ・・・・・平次には、何故か痛いくらいに新一の視線の先に『自分』がいる事が解った。


























「何で微笑(わら)うんや・・・・・・」

「ん?」

「何で怒らへんのや?俺、お前目の前にしとって他んヤツんこと考えとったんやぞ!?」










 平次は叫んだ。

 怒らない新一が解らなくて、そして自分に苛立って、立ち上がって怒鳴った。






 ・・・・・大きく肩を上下して。

























 そんな平次を新一は見上げる。

 月明かりを背にする、その影を見上げる・・・・・・・・・











 ・・・・・そしてまた微笑った。

























「――――――――――・・・・・・だって俺、好きだからな・・・・・・・お前のこと」

「っ・・?」

「言ったろ・・・・・・・快斗を心配してくれて嬉しいって。それは本心だからさ・・・・・確かにあいつ変だったし」

「・・・・工藤」

「だから『快斗』で『俺』を思い出すんじゃなく、『俺』で『快斗』を思い出しちまったとしても・・・・・・・しょーがねえから。それがお前だって解ってるから」
























 ・・・・・・嫌だ。

















 俺がここにいるのに。

 お前の目に映っているのは、確かに俺なのに。








 なのに――――――――――・・・・俺の事を考えていないだなんて、許せないに決まってる。























 でも逆だったら?

























 俺が快斗の立場で、悩んでいる時にこうして恋人の前でも自分の事を考えてくれる友達がいたら・・・・・・・・・?





























 ・・・・・・きっと、凄く嬉しいと思ってしまう。































 だから俺は服部を怒れない。

 そんな服部だからこそ――――――――――・・・・・・・・・































 ・・・・・俺は好きになったんだ。























「・・・・・・」

「突っ立ってないで座れよ。まだ団子残ってるし、食っちまおうぜ」

「最低や俺・・・・・・」

「もういいって」

「工藤が許しても俺が許せへんのや! ああも~ムカツクわ自分!!」

「暑いからわめくなっつーの!! もういいって言ってんだろうが!」











 とうとう怒鳴られ、平次は大人しく座った。

 しゅんとなる姿に新一は思わず笑いがこみ上げる。













「・・・・・」

「あーあ。ったく・・・・・・そんなに俺に惚れてるお前を、どうして怒れるってんだ?」

「へ・・・・・」

「いくら快斗を心配したってそれは『友達』の領域だろ? まさかアイツに妙な感情持ってねえだろ」

「ア、アホな事ぬかすな!!」

「・・・・だったら問題ねえって事だよ」



















 そう言うと新一はふわりと微笑う。





















 さわさわと揺れる風。

 やっぱり生ぬるい風・・・・・・・・

























 ――――――――――・・・・・・大丈夫。



 まだ、服部は俺を好きでいてくれてる――――――――――・・・・・・・・・・



































 この瞳も。







 ・・・・・・口唇も。





























 まだ俺だけのものだ――――――――――――――・・・・・・・・



























「目ぇ、痛み引かんか」

「・・・・・・まだ少し」

「そか・・・」













 いつの間にか近づいていた互いの距離。

 平次は新一の目元を心配そうに覗き込み、そうして・・・・・・・・・・・・・・・・































 ・・・・・熱く息づく口唇を塞いだ。






































ひとくぎり































 蒸し暑い夜。



 体温よりも、遥かに熱い夜・・・・・・・



















「ちょっ・・・・・・外は嫌だって言ってんだろ・・・・・・・・っ!」

「・・・・こんなトコまで誰もけえへんて」

「そんな事じゃねえ――――――・・・・・・・・っ・・・・・・ん・・・・・・・・」















 角度を変え貪り続けた新一の口唇。

 渇いたそれを濡らしながら、巧みに平次は舌を絡ませてゆく。



 そうして力を失った身体がベンチに崩れ、シャツの裾から割り込んできた指が新一の胸の突起を転がし・・・・・・















 ・・・・・・・やがてジーンズの上から硬くなりかけたものを撫でた、その時。



























「ん?」

「・・・・・あ」

















 激しい音がした。

 それはポケットに入れておいた携帯電話の着信。



 急用だといけないから、新一は平次を気にしつつも取り出し液晶表示を見た。















 その表示は――――――――――・・・・・・・

























「・・・・・・出てええで?」

「い、いいよ」

「出ろや」

「―――――――――・・・・・・何怒ってんだよ」

















 言葉とは裏腹に平次の目は冷たい。



 というか・・・・

 怒ると言うよりは、拗ねているといった方が正しいのかもしれない。

















 見えた液晶表示の名は――――――――――・・・・・・白馬探だった。

























「またキッドでも出たんやないか?」

「・・・・・心配してんのか?」

「な、何をや」

「今日は金曜の夜だ――――――――――・・・・・探偵の時間はとっくに終了してる」















 新一は静かに呟くと電源を切った。

 振動を止めたそれを元の場所に戻して、自分に覆い被さっている影を見上げる。







 見開く瞳に、映っているであろう自分を見る・・・・・・・・・



















「工藤、じゃ・・・・・」

「おっと。だからってこの先がオッケーな訳じゃねえからな」

「へ?」

「へ? じゃねえよ・・・・こんな狭くて汚くて、いつ人が通るかも解んねえ場所で出来るか。常識で考えろ」

「こんなんさせといてか!?」

「知るか! それはお前の事情だろうが!!」

「どわ!」











 腰に当たるその部分が今の平次を物語っている。

 自分よりも遥かに存在を主張しているのが解り、新一は耳まで真っ赤になりその身体を押し戻した。

















 ・・・・・上体を起こし乱れた衣服を整える。



 横から痛いくらいの視線を感じた。





















「・・・・・何」

「工藤は何で我慢出来るん?」

「え?」

「俺は見たいだけや――――――・・・・・・・・狭い汚いトコで、人の気配気にしながら快感に耐える工藤の顔が」

「な・・・・・」

「・・・・・ええやろ?」

「!」















 覗きこむ平次の目が据わっていた。

 良くは見えなかったが、声は確かな威力を持ち新一を刺した。



 振り払えない力が身体を押さえその口唇を再び奪う。

















 ・・・・・・・・今度は息継ぎさえ許さず。

























「――――――――――――・・・・・・っっ・・・!!」

























 苦しさのあまり、必死にその身体を引き剥がそうともがく。

 平次はその様をうっすらと開けた目で見ていた。





























 工藤―――――――――――――――・・・・・・・・・



























 触れた肌は熱く。

 額に掛かっている髪の毛は貼りついて。



























 ・・・・・・・・やがて平次は口唇を離した。






















「・・・・・っ・・・・・・はぁ・・・・・・っ・・・・・・て、め・・・・・・・」

「・・・・・・・・・好きや」

「な・・・・・」

「ただ――――――――――・・・・・・好きなだけなんや・・・・・・・・」

「・・・・・・・はっと・・・・・り・・・・・・」


















 互いの息の熱さが解る。



 その言葉の、熱さが解る・・・・・・・・・・・



























 触れるか触れないかの距離。









 ・・・・・・その甘く低い声に導かれるまま、新一はゆっくりと瞳を閉じ。

 そして・・・・・・



































・・・・・・今度は自分から口唇を重ねた。
































ひとくぎり

































 夢で・・・・・・お前を見たんだ。



















 それは日本じゃなくて・・・・・・砂漠で・・・・・・・・凄い暑くて。



 ・・・真っ黒な肌に青い服で・・・・そして黄金の飾りを付けてるお前を見たんだ。































 こんな風に月を背にしていたお前は、本当に綺麗で――――――――――・・・・・・・・・・



























 そうだ・・・・・・・







 そのお前を誰かが連れていったから―――――――――――――・・・・・俺は。

























 結局2人はあのあと、程なくして新一の家へ帰ってきた。

 冷房のないところで新一とコトに及ぶのは無理だという事を、平次は思い知ったからだ。













「あんなに嫌がると思わんかったで・・・・・・・ショックや」

「悪い悪い。雨やんだのは良かったんだけどな―――――――――・・・・・その後の湿度はちょっと・・・・いい加減に服も貼りついてて気持ち悪かったし、蚊だってすっげー出てきたし・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「あ――――――――――・・・・・やっと生き返ったって感じ」

















 平次はあのまま行けると思った。

 しかし、運の悪い事に雨が降り出してきたのだ。



 そんなに強くはなかったし。

 きっと通り雨だろうと思っていたら案の定、すぐそれは止み・・・・・・・・



















 ・・・・・・・けれども、その後に襲ってきたのは耐え難い湿度だった。





















『服部、やっぱ嫌だ・・・・・・・離せ』

『ここまで来てそれはないやろ!?』

『・・・・・・頼む、ホントに――――――――――・・・・・・っ・・・・・・・チカラ入んね・・・・・・・・・・・・』

















 新一が無表情で平次のキスを拒んだ。

 押し戻す力さえ出ないようで、ただ顔を背けるのだ。

















 ・・・・・・それが平次には本当にショックだった。



















 暫くベンチで休んだあと会話もなくこの家に戻って来た。

 リビングに入り冷房のスイッチを押し、それが部屋中を満たした頃・・・・・・



 ソファに崩れこんでいた新一は、ようやく起き上がった。



















 ・・・・・時計を見ると既に零時を廻っている。



















「そら良かったな・・・・・・」

「・・・・ホント悪かった」

「何でそんな暑いのダメなん? 前からそやったか?」

「――――――――――・・・・・・熱は引いたけどやっぱベタベタすんな。シャワー浴びようぜ」











 その問いには答えず新一は微笑う。

 そうしてソファを立ちながらシャツを脱ぎ、滑らかな身体のラインを平次に向けた。














「・・・・・・工藤」

「下はお前が脱がしてくれんだろ・・・・・・・?」

















 新一の右手からシャツが落ちる。

 ・・・・・差し出された手が平次を呼んでいる。



















 汗に貼りついた髪。



 渇いた口唇、渇いた瞳・・・・・・・・・・・・























 その何もかもが平次を誘っていた。























「・・・・もうお預けは無しやぞ」

「だから悪かったって」

「携帯に邪魔されんのも無しや」

「――――――――――・・・・・・・風呂場まで持ってかねえよ」

「ホンマ・・・・・・もう俺を嫌やなんて言うのも無しやで」

「・・・・・・服部」















 目の前にある、自分の名を呼ぶ口唇。

 それは確かにさっき自分の拒んだ口唇・・・・・・・・











 平次は目を細めてそれを撫でた。





























 ・・・・・・・・・・・・うわ・・・・・っ























 びくりと反応する新一。

 寒くさえなってきた室温で、その触れてきた箇所だけがやけに熱く・・・・・・・







 ただ指で撫でられているだけなのに、どうしようもない疼きが全身を駆け巡る。





















「・・・・・・・・・・っ・・・・・・」

「散々待たされたんや――――――――――・・・・・・工藤にも、ちょお我慢してもらわんとな」

「え・・・・・?」

「すぐ行くし。先浴びとって」












 てっきりそのままキスが来てここでなだれ込むか。

 または共に風呂場へ向かうだろうと思っていた新一は、突然体温を離され面食らった。



 そのまま平次は廊下へ消えて行く。












 すると何やら話し声が聞こえ、携帯に誰かから電話が来たのだと新一は悟った。




























 ・・・・・息を付く。



 しょうがない、と微笑いながら。





















 さっきから平次に同じ事をしていたのは自分だ。

 電話が来て、中断させたのは自分だ・・・・・・・・・・・

















 こんな状態のまま―――――――――――・・・・・・突き放してきたのは自分だった。





























「・・・・・・今日くらいはあいつの好きにさせてやるか」













 今日は金曜日。

 いや、零時を廻ったから土曜の夜か・・・・・・



















 2人で過ごせる数少ない夜。

 いつまで過ごせるか解らない夜。

























 ・・・・・・・・・いい加減俺も素直にならないとな。

























 そう新一が思った矢先だった。

 風呂場へ向かおうとして歩き始めた時に―――――――――・・・・会話が少し聞こえてきて・・・・・





















 その会話の中に・・・・・・・・・

























「おえ・・・・・・酔うとるんか? ええ加減やめときや悪酔いすんやから―――――――・・・・・せやからなあ・・・・・・・・はあ? 今から来いやと? お前何言うて・・・・・・・ちょお待てコラ黒羽!?」



























  ・・・・・・・・・・・・・黒羽という名を聴いた。