「・・・・結構寒いんだな」















 工藤新一。

 成田空港に入った時の、第一声。



 小さな革のトランクから緋色の携帯電話を取り出し近くの椅子に座る。

















 ふと窓から外を見た。

 曇り空から雨粒が激しく落ちてきているようで、まだ15時だというのに既に薄暗い。



 まあ急ぐ訳でもないしと、とりあえず近くで珈琲を買ってくると椅子に戻り携帯のメールチェックを始めた。



















「―――――・・・やっぱ何ヶ月も使ってねえと溜まってやがんな。えーと・・・・」















 友人知人、そして警察関係と様々から送られてきているメッセージ。

 その中のあるひとつに、新一はどきりとして決定ボタンを押した。























『会って話がしたい』

    

























「・・・・・」









 差出人は服部平次。

 そのメールを、暫く新一は見つめる。







 忘れたかった出来事が胸の奥から甦ってくる―――――――――・・・・・























 頭を振り、返信せず閉じようとボタンを押そうとした時、突然携帯が音楽を奏でた。





 『主よ、人の望みの喜びよ』。

 ・・・・発信者の名前は平次だ。











 新一は一度電源のボタンを押し、そのまま長押しする。

 画面も消え音を立てなくなったそれを静かにポケットに入れた。





















 話したい・・・・?




 ・・・・・もう俺の前に現れないって言ったのは・・・・・お前じゃねえのかよ・・・・























 プルトップにかける指が震えている。











 ・・・・・・・新一は目を閉じて、忘れようとしても消えないあの夏の夜を思い出した。








明日に続く[01]





 あれは8月の中旬。

 夏真っ盛りの海岸で、殺人事件が起こった。



 またしても居合わせた毛利小五郎と、その娘の毛利蘭。

 そして妃英理と共に新一や平次、和葉も一緒にとあるリゾート地へと遊びに来ていた。





 相変わらずこのメンバーだと何かを引き寄せるらしく。

 でもさして時間も掛からずに事件も解決したのだが、2人の事件はその後に起こった。











「だから嫌だったんだ。服部と居るとロクな事になりゃしねえ」

「そらこっちも同じ台詞や」

「・・・・せっかく海に来たってのに隣に居るのはお前だし」

「ホンマや。ごっつ綺麗な夕陽を工藤と見とるなんて計算外も良いトコや」









 既に時刻は夕暮れ。

 確かに幼なじみとは言え、女の子と一緒に来てるのだから隣に居るのはそっちの方が良いに決まっている。







 しかし。



 ・・・新一も平次も、いい加減にもう女の長い買い物に付き合わされるのはご免だった。









 彼らを好きな筈の彼女達も、今日ばかりは女同士で買い物を楽しみたいらしく『じゃあね~』と蘭の母親の英理と共に車で早々に消えて行ってしまったのが今日の昼前。



 未だ戻って来た気配もなく夕刻を迎えている。













「・・・・腹、減ったな」

「そーやな・・・」

「海。凪いでんな・・・・・」

「空もええ具合にグラデかかっとるで。明日もこら暑そうやな」











 特に何をするでもなく、海岸の防波堤の上に2人は寝そべっていた。









 眼前に広がる空。

 ・・・・鮮やかな色合いで、それは2人の網膜に焼きつく。



























「―――――――――・・・似てる・・・」

「あん?」









 横で、いきなり新一が笑い出した。

 自分的にツボに入ったらしく、暫く止まらない。







「何や、気味悪いのー」

「だ・・・・だってあの色」

「はあ?」

「空の色だよ。黒いけど真っ黒じゃなくて、少し赤み掛かってる所なんかすっげーお前の肌じゃん?」

「―――――・・・あのなあ・・・・・」











 平次は返す言葉も無い。

 この肌の色をとやかく言われるのには慣れてるが、夕焼け空とはグローバルな例えだ。



 相変わらず突拍子も無い事を言うなあと平次は身体を起こした。









「こーゆー方が、オンナにはもてんねんで」

「だろうな」

「お。認めたな」

「って事で珈琲買って来てよ。のど渇いちまった」

「・・・・・」









 ニッコリと微笑い手をひらひらさせる新一。

 そーゆー事かい。と思いつつも平次は反論もせず立ち上がって歩き出した。





 ・・・・新一は上空を見上げたまま。





















 夕刻になって風も涼しくなってきたせいか、急に眠気が襲ってきた。

 ひとつ欠伸をすると目を閉じる。









 揺れる前髪が額を掠める・・・・・

































 ―――――――――――――――――――・・・・蘭・・・・・・・





























 思い出す、夕べの出来事。

 エレベーターの中で2人きりになった時、伸ばした手が白い頬に触れ・・・・・





 引き寄せようとした瞬間、ビクリと震えた身体が拒絶を示した。













『ご、ごめん新一、違うの』

『・・・何勘違いしてんだ? ホラ、後ろの窓んとこにでっかいクモ』

『え? や、やだ!』













 確かに、蘭の後ろの硝子窓に大きなクモが這っていた。

 驚き反射的に新一に抱きつく蘭。









 ・・・・・その柔らかな感触を身体に受けつつも、新一の表情は晴れず。



























 ・・・・・・俺たちは何処からすれ違ったんだろう。





 それ程に、待たせてる時間は長すぎたのか―――――――――――・・・・・・?




















 クモがいたのは本当。

 でも、自分は確かにこの身体に触れるために手を伸ばしたのだ。







 ・・・・その口唇に、触れるために。





 でも。





























「――――――――・・・・っ!!?」

「なーに寝とんねん。ホレ」

「冷てえな! 何しやがる!!」

「ホンマ朝から不機嫌やなー。何かあったん?」









 ん? と買ってきた缶珈琲を差し出す平次。

 その表情に新一は気付いた。







 だから、か。











「・・・・・・お前のそんな所がムカツク」

「は?」

「俺がへこんでるの、何でいっつも解んだよ」











 平次は気付いていたのだ。

 いつも仲の良い2人なのに、今日の朝は何だか変だったから。





 だから、蘭を和葉に任せ自分は新一と一緒に居た。













「女は難しいもんやって。男の俺らには理解不可能な事ばっかしやし、気にすんな」

「お前に何が解んだよ」

「なら聞いたらええんや。今まで散々待っとったんは蘭ちゃんの方やぞ? お前も気持ち察しろや」

「―――――・・・本当にムカツクな、服部」









 新一は立ち上がる。

 差し出された珈琲にも手をつけず、平次に背を向けホテルの方へ歩き出した。





 ・・・・明らかにその雰囲気は怒りの色を出して。











「何や! お前が買って来い言うたんやろ!?」

「うるせえ!!」

「―――――――・・・って、おえ前見ろや前! 子供・・・!」

「!?」











 新一が振り返ったその瞬間、突然子供が前を横切った。

 小さくて視界に入りきらなかった為に気付くのが一瞬遅れ、避けようとして―――――――――・・・・・



























「工藤!」

















 ・・・・・・海に落ちた。

































ひとくぎり































 幸いそんなに深くは無かったから溺れずにすんだ。

 ただ服が水を含んでいて、思うように身動きとれなかったのは確かで。



















「・・・・あの子は?」

「大丈夫や。母親迎えに来たったから」

「良かった――――――・・・・・・・一緒に落ちたかと思った」









 既に闇が色濃くなって来ていて、大して灯りもない海岸。

 新一は仰向けになり砂浜に横になっていた。



 外傷は無く、意識も確かだ。









「すまん。俺が余計な事言うたな」

「・・・・何で謝るんだ? 俺が勝手に落ちたんだぜ」

「せやかてあそこで声掛けへんかったら、こうはならんかった」

「過ぎた事だ。生きてんだしもういいよ」









 口の端だけを上げる笑み。

 工藤新一の得意とするその表情だが、眼に威力感じられないのに平次は戸惑う。









「歩けるか? 早いとこホテル戻った方がええ」 

「悪い――――――・・・・ちょっと、気持ち悪い・・・・・もう暫くココいるから、お前先帰れ」

「それやったら尚更早よ戻らんとアカンやろ!」

「ちょ、ちょっと何だよ、うわ!」













 突然新一の身体が宙に浮いた。

 背中と足に強い力を感じ、顔を上げた新一の視線の先には平次の顔が至近距離で見えた。





 水を含んでいる自分の身体。

 それだけでもかなり重たい筈なのに、平次は軽々と持ち上げている。











 ・・・・・・あまり揺れを感じない。



 かなり腕に力を入れている事を悟り、新一は申し訳ない気持ちしか湧いてこなかった。























 シャツも髪も肌も。

 全て海水に浸り、夏の海とはいえ身体は段々冷えてくる。





 夜風は熱を生む。



 平次の腕の中、新一は自分の息がだんだんと熱を持ってきているのを感じていた。
































ひとくぎり

































「工藤、薬」

「―――――・・・ああ、サンキュ」

「コラ早速飲もうとすんなや! メシ食わな胃ぃひっくり返るで!」







 ホテルに戻りフロントから貰った薬を新一に渡す。

 するとすぐに口に運ぼうとしたから、平次は焦ってそれを取り上げた。







「・・・そうだったな」

「まったく~。子供みたいやな」

「なんかアタマ・・・・上手く働かねえ」







 いつもだったら直ぐに返しの言葉があるのに、それ所じゃないらしく新一は深く息を付いて肩を落とした。

 平次は、濡れた額に手を当てる。









「・・・・熱は無いみたいやけど」

「海水ちょっと飲んじまったから――――――・・・あ―――――・・・駄目だ、気持ちわり―――・・・」









 ツインベッドの奥に横たわると窓側を向いて目を閉じる。

 平次に背を向ける形になったから、慌ててそっちに回り込んだ。









「そんなんやったら、今日の晩飯パァやな」

「―――――・・・今メシの話すんじゃねえ・・・・お前だけ行ってこい」

「へ? 大丈夫か?」

「・・・・お前が居ると余計に気分悪くなる」











 布団に顔を埋めつつ、睨む。

 まあ寝てれば治まるだろうと思ったから、平次は大人しくそれに従う事にした。



 確かに、こんな状態の時は他人がそばに居ない方が気が楽だ。













「ほんじゃー行ってくるけど・・・・・ヤバなったら電話するんやぞ」

「はいはい・・・・」













 明日東京へ帰るから、今日は最後の夜だった。



 着いてから今まで事件に振り回されていた自分達だったから、今夜くらいは地元の美味しいものを食べに行こうと午後の7時にホテルのロビーに待ち合わせしていたのだ。



 とは言っても、こんな具合の人間を放っておける平次では無いことくらい新一は知っていた。

 だから先に自分から切り出した。















 やがて気配が遠くなり扉の閉まる音がする。



 ・・・・新一はゆっくり起き上がり、身体に纏わりつく海水を落とすためにバスルームへ向かった。






























ひとくぎり

































 ・・・・・蘭に、今、逢いたくなかった。



 その思いが無意識に、新一をこんな目に遭わせたんだろうか―――――――・・・・?

































 あいつが一瞬でも俺を拒絶した。





















 もう、駄目なんだろうか?

 やっぱり離れていた時間は埋められないんだろうか・・・・・?































 ・・・でも、不思議だ。





 俺はどこかで・・・・・そんなあいつに納得してる――――――――――・・・

























 ゆっくりと衣服を脱ぎ、新一はバスルームへ入った。

 一通り洗った後、熱いお湯を頭から浴びせる・・・・





 少し、気分が良くなった気がした。























「・・・あ――――――・・・ったくよー・・・・・・なっさけねー・・・・ちくしょ―――――・・・・・」

























 やっぱり立って居られなくなり、お湯も張ろうと座って栓をした。

 もたれ掛かったまま熱い雨を浴びていると、段々液体が身体を包んでいって気持ち良くなってくる・・・・・





 丁度いい所で止め、そのまま縁に寄りかかって目を閉じた。

























 ・・・・それからどれくらい経ったのか。



 遠くから声がして、新一は目を覚ました。



























 ――――――――――――・・・・はっとり・・・・・・・?



























「おえ工藤どこや!? 居るんやろ?」

「・・・・・・俺ならここだ・・・・・」

「風呂場か? 何やも~焦ったやんか。具合どや?」











 平次の声だ。

 新一はボンヤリと返事をして、またそのまま目を閉じる。



 どうにも眠くなっていたのだ。



 そうして30分もした頃、案の定心配した平次が再び声を掛けてきた。















「工藤!! お前エエ加減にせえよ!? いつまで入っとんねん!」

「――――――・・・・・・・・」

「・・・・工藤・・・・・? ちょ、おえ開けるで?」











 返事が無いことに疑問を抱き、平次は躊躇せずドアを開けた。

 すると縁にもたれ掛かったまま寝ている新一の姿が目に入った。





 ・・・その身体は既にのぼせている様でとても熱い。













「コラ起きんかい!! 工藤!」

「・・・・・ん・・・・・」

「アホやな全く! 具合悪いのにこんな長くお湯に浸かる奴が居るか!?」

「――――――――・・・・・はっとり・・・・」

「工藤・・・?」







 







 頬を叩き、新一を気が付かせる。



 その顔を上げた表情に――――――・・・・平次は瞬間息が止まった。



















 濡れた髪。

 張り付いた髪。







 ・・・・のぼせた為か虚ろな眼差し。















 無意識にゴクリと喉が鳴り、下半身に疼きを感じた事に驚いた。



























 ・・・・へ・・・・ちょ、ちょお待て自分・・・・・・・

 誰にこんな反応しとるん? こいつは工藤やぞ!? 女や無くて工藤っちゅー男・・・・・





















「悪い・・・・俺、寝てたんだ」

「は、はよ上がりや」

「・・・・そうだな」

「どわ!?」













 言われて、そのまま新一はボーっと湯船に立った。

 驚いたのは平次だ。







 いきなりの全裸の新一に、ただ目を見開き―――――――――・・・・閉じることが出来なかった。

















「・・・・・そこ、どいてくんねえ?」

「あ、そ、そやな」

「―――――――・・・・・何じろじろ見てんだよ・・・・・・そういう趣味か?」

「ちゃ、ちゃうがな!」

「へえ・・・・」













 新一は微笑っていた。

 蒸気で濡れている身体を隠そうともせず、少しだけ目線の高い平次に向かって、口の端だけ上げて。













「そーゆうんじゃ無くてもココって勃つんだ―――――――・・・・・・」

「へ!? あ、あれ?うわ、ホンマや何で!?」











 ちらりと視線を目の前の下半身に落とすと、其処は自分にも覚えのある膨らみが見えた。

 平次はその時その症状を自覚し、また慌てた。













 ・・・・・どくん。



 新一の心臓が酷く波打つ。



















 ・・・・あれ・・・・・・・俺、変だ―――――――・・・・気持ち悪いはずなのに、何かすげえヤバイ気分・・・・・・・





 って・・・・・・え・・・・・?





























 平次がその場から去ろうとした。

 同時に新一がしゃがんだ。



 激しい波音がして、反射的に平次が振り向く。

 ・・・すると上がろうとしていた筈なのに、また浸かっている新一と目が合った。













「何しとんねん? 上がれや」

「い、いい。後でいい」

「フザケんなや! また俺が運ぶのは御免やぞ!?」

「いいって言ってんだろ!! ・・・・・・ちょ、ちょっと手ぇ離せって!」

「わっけ解らんやっちゃ――――――・・・・な・・・・」













 平次はその時、湯船の中を見てしまった。

 勿論、入浴剤なんて入っているはずも無くその様は湯気の中でもハッキリと見えた。







 それは・・・・

















「く・・・・どう?」

「―――――――・・・・・ちくしょう・・・解っただろ! 早く出てけ!!」

「せ、せやけど」

「ああもう! お前が何とかしてくれるってのか!!?」























 ・・・・つい、出た言葉だった。

























 バスルーム。

 たいして広くもない湿った空間。



 湯船を挟んで、お互い座り込んだ状態。





























 ・・・・平次が静かに言葉を出す。



























「そやな――――――・・・それ、静めよか」

「じょ、冗談に決まってんだろ!? マジに取んな!」

「―――――・・・・・服・・・ええか、濡れても」













 次に平次は身を乗り出し、衣服を着たまま湯に入った。

 新一は驚くと言うよりもパニック状態に陥ってくる。











「な、何してんだよ!?」

「――――――・・・・・・ええから、ちょお黙っとって」

「え、わわ、ちょ、どこ触って・・・・・・・・ひゃ・・っ・・・バカ離せ!! なに握ってんだこの変態! は・・・離せっての!!」















 湯船の中。

 平次はゆっくりと太股から肌を撫で新一のものを掴んだ。



 未だかつて他人にそんな所を触られた事など無いから、案の定な反応でその手を剥がそうともがく。

 でもあまりにも騒ぐので、平次は息を付いて新一に顔を近づけた。

















「・・・・うるっさいのー・・・そん口も塞ぐか」

「!?」













 薄い口唇。

 開いていたそれを、文字通り塞ぐ。



 最初は抵抗して色々叩いてきたり蹴りを入れようとしていた様だったが、元々のぼせていた身体は大した力も出ない。

















 平次の息遣いと、舌の動き。



 ・・・・そして自分に与えられているものへの刺激が、新一から抗う力を奪っていった。



























「――――――――・・・・っ・・ぁ・・・」

















 ・・・・・・・・頃合を見て口唇を離すと甘い声が漏れる。

 新一はそれが自分から出た事に驚き、急に息を止めた。



 平次は次に首筋に舌を這わせる。









 両足で完璧にその身体を押さえ付け、左手は硬くなっている突起を。

 そして右手は、休み無く巧みな動きで性感帯を刺激し続けた。

















 押し殺す吐息。



 でも・・・・それは余計に恥ずかしい音になってバスルームに響く。





















「声、我慢せんでもええのに」

「・・・・う、うるさ・・・・ぁ・・・っ・・・・・も、自分でするから・・・・っ・・・・触んな・・・・・っ・・・」

「人にしてもらった方が気持ちええやろ・・・・・・・今止めたら、ごっつ後悔するで?」















 ぺろりと平次は自分の口唇を舐める。





 最初は、本当に男なら誰でも覚えのある状態を手伝ってやろうという軽い悪戯心だったのだが・・・・・段々新一に触れているうちに、平次は自分の下半身がどうしようもなく張っていることに気付いた。













 目の前で震える身体。



 瞼を硬く閉じて、必死に快感に耐える身体。



















 ・・・・・これが工藤新一?



 生意気で、いつも人を見透かした眼差しを向ける同い年の名探偵・・・・・・・?



























 声を抑えようとしても、開けた口唇から漏れる息が何故か平次の下半身を撫でる。







 これは、男だ。

 自分と同じ性別を持つ、正真正銘の―――――――――・・・・・・















 ・・・・でも、明らかにこの新一に対して自分は興奮している。























「ち・・・・きしょー・・・・っ・・・んっ・・・・・ちょ・・っ・・・ホントにもう・・・やめ・・・っ・・・・」

「・・・そろそろみたいやな」

「あ・・・・・・・っ・・・はっと・・・・り・・・」

「!!」

「――――――・・・・・っっっ・・!」















 寸前に、新一は平次にしがみついた。

 本人は多分気が付いていないだろうが、与えられる波に身体が勝手に反応したのだろう。





 そして漏れる吐息の中に平次は自分の名を聴くと―――――――・・・今までに無い疼きが身体を駆け巡り、刺激を与える指に力が入った。

















 ・・・・それで新一は思い切りびくんと跳ね、一気に頂点へと上り詰めた。

































 ・・・・湯の中で、波がざわめく。

 痙攣に似た症状が何度か起こり、新一はゆっくりと身体を離した。



 顔は伏せたまま、肩で息をして。















「・・・工藤・・・・・・」

「――――――・・・・信じ・・・・・らんね・・・・・・・・・」

「・・・・・・俺・・」

「出てけ・・・・・」

「・・・・・・」

「――――――――・・・・出てけって言ってんだ! 俺の前から消えろ!!」

















 新一は決して平次と目を合わせようとはしなかった。







 既に温くなったお湯の中。

 すっかりお湯の減った湯船を出ると、平次はずぶ濡れの衣服そのままで外へ出て行く。























 扉が閉まる音。



 それを聞いて新一は立ち上がり、再びシャワーの蛇口をひねった・・・・・・