White Lights 第14話

「うわ、あっつ・・・」





 眩しい日差し。
 既に高い位置の太陽が、容赦なく新一を照りつけた。


 今日も良く晴れている。






「・・・さっさと終わらせねえと茹だるな」







 さすがにシャツにネクタイは息苦しいから、Tシャツにジャケットで家を出る。

 温暖化が進んでいる昨今。
 直接日差しを浴びるより、こうして1枚羽織っている方が涼しい。



 そして帽子を頭に乗せ駅へ向かう。
 向かう先は、警視庁だ。





「ん?」





 同時にポケットに入れていた携帯が振動する。
 2回で終わったから、メール着信だ。


 取り出し・・・その表示に驚いた。







 From:工藤優作
 Subject:無題


 新一へ。
 夕飯は一緒に食おうな


  ‐‐‐‐END‐‐‐‐







「父さん!?」





 それは父親である工藤優作からだった。
 それにしても・・・







「ハートマークはやめろっつーのに」





 しかし、と言うことは。
 日本に帰ってきてるのか――――・・・


 まあ・・・突然なのはいつもの事か。
 新一は、短縮を押す。





『おう、新一か』
「父さん? いまどこだよ、母さんもいるのか?」
『ちょっと用があってな。目暮さんの所に来てるんだ』
「・・・って事は警視庁かよ」
『おう。待ってるから早く来いよ』





 言うなり優作は電話を切った。
 それにしても会うのはいつ以来だ?



 新一は息を付きつつも・・・僅かに口元をほころばせた。








ひとくぎり







「やっほー新ちゃん♪」
「・・・やっぱり」





 霞ケ関駅を出た途端、脇から抱きつかれる新一。
 予想していたから冷静な反応をする。





「何よ。もっと驚いてくれたっていいじゃない。つまんなーい」
「父さんがいるって時点で大体は読めるんだけど」
「昔はもっと喜んでくれたのに!」
「そうだな。最近冷たいな、この息子は」





 工藤有希子。そして隣に、工藤優作。
 現在、ロスで暮らしている新一の両親。
 
 優作は世界的に有名な推理小説家。
 有希子は元女優で、20歳で引退し新一を生んでいる。



 その優作は今も数多い締め切りを抱えているはず・・・なのに、こうして2人ともが日本にいるとはどういうことなのだろう?





 ・・・しかししばらくぶり。

 正月も会わずじまいだったから、やはり嬉しかった。






「用が終わったら連絡しろ。俺たち、彼とお茶でも飲んでるからな」
「彼?」
「ん? お前の後ろにいるだろう」
「警視庁で偶然会ったのよね~♪ しばらく見ないうちに、ほんっと格好良くなってて驚いちゃったわ!」





 未だ有希子に腕を捕まれたままの新一。
 おそるおそる、振り返った。



 ・・・そこにいたのは。





「服部・・・」
「久しぶりやな。工藤」
「何で、お前が」
「そら用があるからやけど?」





 あれ以来会っていない、服部平次だった。








ひとくぎり









「彼とはゆっくり話したことなかったし。日本でのお前の事も、聞きたいしな」
「ちょ、ちょっと・・・」
「じゃあね新ちゃん♪ あ。夜はご馳走食べるんだから、あんまり間食しちゃだめよ?」





 ・・・そうして彼らは去ってゆく。

 新一は、しばらくその場に呆然と立ち尽くした。







 父親と母親が、突如帰国。
 加えて、服部平次。



 なんだ。この組み合わせは?



 そして・・・







『何で、お前が』
『そら用があるからやけど?』







 返ってきた言葉の、酷く冷い響き。
 あんな服部は―――・・・初めてだった。








「あ、そうか行かなきゃ・・・警視庁」







 何の為にこの駅へ降りたのか思い出し、新一は歩き出す。


 炎天下。
 まだ夏は始まったばかりだけど、日差しは突き刺すように痛かった。





 まだ背が伸びているのだろうか。
 見上げた角度が、より高くなっていた気がする。


 髪は少し短くなっていた。
 全てが、確実に時が過ぎていることを示している。





 ・・・声を聞くのもあれ以来だった。









「あ! 工藤君、ちょうど良かった」
「高木さん」
「お昼食べたかい?」
「ええ、済ませてきましたけど」
「じゃあ早速で悪いんだけど・・・」





 警視庁の入り口で、ばったり目的の人物に会う。
 新一はひんやりとした空気にホッとしつつ、彼の後に続いた。