it’s rainy thing






「・・・・今日のも違うのかよ!!」












 苛立つ。

 焦りが止まらない。



 ・・・かざしてみても、見つからない。





 東京タワー。

 大都市の象徴。




 紅くそびえるその塔を、たった今『預かった』ものに透かす。
















 ―――――――――・・・・本当にあるのか・・・? パンドラってのは!? 











 無意識に、口唇を噛む。

 そうしてポケットに無造作にそれを放り込み―――・・・・歩き出した。





 多分、今頃警察は大騒ぎ。

 たった今、この少年が『予告状』通りに『盗み』をしてきたから。





 ・・・そんな中。



 ひょうひょうと派出所の前に来た少年は、道を尋ねるフリして

 警察官のポケットに『盗んだもの』を返した。




 にっこり笑って少年は礼を言い、その場を去る。








 ・・・・その警察官がポケットの中身に気付く頃。



 また、ひと騒動が起こるだろう。












「―――――・・・・また、お預けか」














 そうして、深く溜息を付き・・・夜の東京タワーを彼は見上げた。














 クセのある、髪。

 よく見れば、整った顔立ち。



 ・・・掠れたような、甘い声。








 黒羽快斗。

 今や全国的に有名な、『怪盗キッド』の正体。







 全体を白く染め上げた、奇異な装束。

 主に活動する夜に、やけに映えるのに・・・・何故か捕まらない。





 それは誰も、キッドの素顔を知らないから。

 『変装の名人』と言われる怪盗の正体を・・・誰も知らないから。






 いや。



 誰も――――・・・という訳では無いが。


















 これは、孤独な戦い。



 共に戦う仲間なんて、居はしない。










 でもそう言えは以前――――・・・同じ波長を感じた事が



 あった気が・・・












 快斗は、ふと思い出す。




 以前狙った宝石を追っている時。

 出逢った・・・・『頭の切れるジョーカー』の存在を。















 「あん時は、ちょっとヤバかったけど・・・・・そういや、いねえな最近・・・あの『ジョーカー』・・・」


















 ・・・あいつ。



 何となく――――・・・俺と同じ『感覚』がしたっけ・・・・




















 歩みが止まった。

 快斗は顔を上げた。



 ぱらぱらという音で、雨が降ってきたんだと悟った。
















「・・・雨か」














 その時、予感がした。



 それは黒羽快斗、天性の感。


















 ・・・・きっと、また逢える。



 あのとき出逢った『ジョーカー』に。














 これは、確信。






















「・・・・・楽しみだな。っつー事は、それまで俺は・・・パンドラは見つけられないって事か・・・?」




















 雨に濡れながら、快斗は微笑う。










 だって『予感』した時の自分は・・・・キッドの装束を身に纏っていた。

 それは、まだ探している証拠だ。






















「あ!! しまった! 俺、明日1限数学あたるじゃん!」












 ふと我に返り、本来の姿である

 高校生の自分を思い出す。



 IQと勉強の出来は、比例するものではないのだ。










 これ以上、雨足が強くならないうちに帰ろう。



 快斗は、東京タワーに背を向けると・・・・足早に駅へと向かった。

























ひとくぎり



























 雨。



 ・・・そうして雨の日に、出逢う2人。


















 それまで何度か、対面しては居たけれど。





 ・・・『ジョーカー』の正体が、実はあの『子供』で。

 本来の姿が、『高校生探偵』だと知って。
























 どんな思いで、『彼』が『子供』の姿になっているのか――――・・・・



































 雨。



 土砂降りの、雨。






















 ・・・・なあ、『ジョーカー』。






 俺が何故『怪盗』をしているのか――――・・・・解けるか?















































Fin