星の見えない夜





 夜。

 ・・・・帰り道に、公園を横切る。













 確かに晴れてはいるのに。

 星は、全く見えない。





















「―――――・・・東京だもんな。当然か」





















 新一は目の前のブランコに腰掛ける。

 軋む音が闇に響き、かえって静寂を生んだ。



















 ・・・・・・・・・昼間はあんなに暑かったのに。

 今は、もの凄く肌寒い。

















 東京午前1時。

 ここは都心に近いから、灯りが消えることは決してない。

















 月がどうにか顔を見せても。

 ・・・・あのとき目を見開いた、落ちてきそうなくらいの星は。



 新一はこの街で見たことは無かった。





















 少しブランコを揺らしながら、そのまま宇宙を見る。

























「・・・少し酔ったかな」













 友達との酒は楽しくて好きだ。

 少しくらい嫌なことがあっても、すぐ忘れられる。



 家に戻っても、帰りが遅いと怒られる心配もないし。

 どんなに飲んだって、記憶がなくなる程には決してならないし。

















 ・・・でも。



 それはもの凄く『寂しい』と思った。





















 『課題明日までなんや』と、飲みの誘いを断った平次。

 『わり。ちょっと熱出しちまった・・・』と、だるい声で電話してきた快斗。



 そして。





 『パーティーに呼ばれてるんだ。すまない』
 そう言って去って行った、快斗からの紹介で知り合った白馬探。























 ―――――――――・・・どいつもこいつも、俺の誘いを断りやがって。





















 友達は大勢いるけど。

 気を許せる『仲間』は、少ない。















 ・・・こんな風に思っているのは、自分だけかもしれない。





 だから、口に出してなんか 言わないけど――――――――――・・・・















 こんな風に飲んできた後の、夜の静けさは。

 どうもらしくない事を考えてしまう。









 ・・・新一は、苦笑した。























「あーあ。なーに浸ってんだ俺は・・・・」















 ギシリと音を立てて降りる。

 やたらと周りに響いて2・3度揺れ、やがて止まった。



 新一は来た道を戻り公園を出る。

 そして今度は、まっすぐ家路に向かった。






















ひとくぎり















「なんや・・・お前、熱あるんやなかったんか?」

「服部!? あれ? 何しに来たんだよ」

「――――・・・どうしたんです? 2人とも揃って・・・」

「白馬? てめーこそ何でだ?」











 工藤邸の、玄関扉の前。

 もたれかかって住人を待っていた服部平次。



 そこに、熱で大学を休んでいた黒羽快斗がやってきた。









 そして、その直ぐ後に。

 ――――・・・正装姿の白馬探が現れたのだ。













「・・・新一、居ないのか」

「どっか遊びに行っとるみたいやで。」

「じゃ、待ちますか」











 探が2人の目の前にミニワインを差し出す。

 パーティー会場からの、調達品らしい。













「おー。用意ええやん」

「でしょう?」

「どーせならよー。つまみも持ってこいよな~」

「・・・君は大人しく帰って寝なさい。」









 まだ熱がある様子の快斗を、探は制する。

 でも『平気平気~』とワインをぶん取り飲みだした。











 やがて新一は帰ってくるだろう。

 そして、居ないはずの仲間が待っているのに気付くのだ。











 ・・・・その時、どんな表情を見せてくれるんだろう?



























 きっと。



 『何やってんだ人んちの前で!?』なんて・・・・



















 顔を赤くして・・・・怒鳴るに違いない。




































Fin