それぞれの休日




「あれ?白馬じゃん」

「・・・工藤君」















 天気の良い、日曜日。

 歩いて15分の所の図書館にやってきた新一。



 そこの入り口の自販機前で、見知った姿を見かけたから驚く。

 白馬探だ。















「何やってんの? お前」

「何って・・・・」

「オンナ?」

「違いますよ。ホラ、あそこ」















 探に顔で示された方向へと、新一は視線をずらす。

 すると、奥の方の棚付近で一生懸命に上を見上げている人物を見つけた。



 黒羽快斗だ。























「快斗も居たのか」

「朝、急に電話が掛かって来て『探してる本があるから見つかるまで付き合え』なんて言われちゃいまして。もう、ここで3件目ですよ」

「そりゃ災難」

「ええ、腹ぺコです。ご飯も食べさせてくれません」















 新一は、時計を見た。

 針が示す時間は午後3時半前。









 ・・・・・・・おやつの時間も過ぎている。

















「昼メシまだなのか!?」

「さっきまで探すの付き合ってたんですがね。お腹空きすぎてしまって・・・・ せめて紅茶だけでもと、こうして」

「・・・ったく」















 呆れた顔をしながら、新一は歩き出す。

 まっすぐに。快斗に向かって。











 静粛なる空間。

 靴音だけでも、結構響く。



 快斗は、自分に向かってくる足音が探ではない事に気付き振り向いた。















「やっぱ新一だ。」

「何、探してんだよ」

「ん~・・・専攻してる授業の参考文献なんだけどさ。どこ探しても見つからなくて」

「今すぐ必要なのか?」

「早ければ早い方が良いから」



















 脚立の上。



 快斗の背の届かない場所にも、手を伸ばしている。

 目的のものは未だ見つけられてないという事。







 新一は、苦笑した。

















「俺も後で探すの手伝ってやるからさ。メシまだなんだろ? とにかくどっか食べに行くぞ」

「・・・でも、もうちょっと」

「白馬が限界だ」

「へ?」













 快斗は呆けた声をだす。

 まるで、一緒だったことを忘れていたかの様に。



 そうして改めて腕時計を見た。















「うわ! もうこんな時間!?」

「相変わらず物事にのめり込むと時間忘れる奴だな・・・・」

「ひょえ~・・・白馬、なんか睨んでる」















 遠くに見えるのは、缶紅茶を飲みながらじっとこっちを見ている高い影。



 ・・・・・なんか、不気味だ。



















 快斗は地上に降りると、脚立を片付けた。

 そして2人で入り口へ戻る。



 革のハーフコートを着ると、マフラーを首に巻きつけた。

















「わりーな白馬・・・・・ここも見つからない」

「らしいね」

「メシ、食いにいこ。新一も行くってさ」

「あーちょっと待って。あと5分くらいでアイツも来るから」

「あいつ? 服部?」

「そ。バイト代入ったっつってたから、奢らせようぜ」















 新一は、此処へ待ち合わせで来たのだ。

 『明日バイト代入るし、メシ一緒に食わへん?』と誘われたのが昨日。



 それなら、買い物にも付き合えと返事をした新一。

 3時半に待ち合わせをしていたのだ。





















 ・・・・ひとりだけに奢る予定が人数は3名に増えている。



 

 さて、どんな顔をするだろうか?























「新一。そのジャケット格好良いじゃん」

「だろ? 昨日パルコで見つけた。けど俺、白馬のそのロングコートも狙ってんだよね」

「工藤君、ずっとそればっかりですね」

「だって世界中探しても、もう売ってねーヤツだぜ? ちょうだい?」

「あげません!」

「俺は新一のそのジャケット~ なあ、色違いとかあった?」























 どっからどう見ても、イイオトコの部類にしか入らない3人。

 そろいも揃って細身でスタイルはいう事なし。













 ・・・ひとりでも充分人目を引くというのに。



 今日は3人が揃っているから、無敵オーラを隠せない。





















 特に新一と快斗は冬服になると中性的な雰囲気が溢れ出る。

 だから、オンナだけでなくオトコさえも振り向かせるのだ。





















 ・・・・探は、他の2人に比べて身長が結構高い。











 だからまるで『両手に華』。

 その雰囲気に気付き、少し微笑った。













「何だ? なんか可笑(おか)しいか?」

「いえ。ちょっといい気分だなあと思ったもので」

「は?」

「2人揃うと、ますます目の保養ですね」













 そうしてニッコリと微笑む。


 ・・・・・・新一と快斗は、呆れた。















「オトコ相手になんだそのセリフ・・・・」

「綺麗なものは老若男女問いませんし。事実なんですから、仕方ないでしょう」

「白馬・・・・・・・お前、そういう趣味やったんか」

「おや。服部君ごきげんよう」

















 その時、後ろから声がする。

 

 やってきたのは服部平次。

 こっちは、革のハーフジャケット着用である。

















「失礼な。彼らは、造形に関してトップレベルだと言っているだけですよ。君はそう思わないんですか?」

「そ、そんな風に見たことある訳ないやろ!」

「そうなんですか?」

「いい加減その話題を止めろっての~~~!!」

















 そうして。

 4人になったイイオトコ軍団は、その場所を離れる。



 そしてやっぱり・・・・・探、快斗、新一、平次と並んで歩くその姿は。



























 ・・・・相変わらず、男女関係無く道行く人々の視線を集めるのであった。
































ひとくぎり



























「ちくしょ~ 今度、どこの図書館に行こっかな~」

「そのことだけどさ・・・ネット検索してみたのか? 本探すの、一番簡単だろうが」

「あ」












 その夜。

 めでたく快斗は探していた本を見つけ、安心して眠りについたのだった。








































Fin