不機嫌










「近寄んな」

 



















 新一が、怖い目をしてこっちを見た。



























「・・・はいはい」























 こういう時は、放っておくのが一番。

 平次はそれだけ言うと、素直に向かいのソファに座る。



 東の名探偵。どうやら今日はご機嫌ナナメらしい・・・・
































ひとくぎり





















 MDウォークマン。イヤホンを取り出し、耳にきゅっと詰める。

 どんな音楽を聴いているのか解らないけど、眉間にしわを寄せ今度は小説本を開いた。



 足を組み、ソファに深く腰掛け、ぱらぱらと紙をめくり始める・・・・

 平次は向かいのソファに座り、その様をじっと見ていた。



















 ――――――――――・・・ホントに、じっと。



















 『何だよ』という視線が新一から向けられるが、両手を広げ『べぇつにぃ~』というポーズを平次はとる。

 その後にやにやと微笑いながら席を立ち、勝手知ったる何とやらでキッチンへ行き珈琲を入れ始めた。



















 そうして、湯気を立たせたカップを2つ。

 ひとつは勿論新一の前のテーブルに置き、また平次はもとの場所へ戻った。





























「・・・・・」















 視線は決して向けない。でも、気配はこっちに向いている。

 そんな新一に気づいているのかいないのか。次に平次は足を投げ出し、ソファに仰向けになって雑誌をめくり始めた。

























 ――――――・・そのまま、約10分。

























 『よいしょ』と勢いをつけ起き上がり、リビングから平次はいなくなる。

 瞬間ぴくりと新一は気配を揺らすが、直ぐに文字の続きを目で追い始めた。


































ひとくぎり



























「あと、2時間ってとこやな」





















 階段。

 工藤邸の玄関を開けて直ぐ目の前にある階段に座り、平次は呟く。



 昨日の事件で何か面白くない事でもあったんだろう。
 じゃなければ、今日学校で気に食わない事があったのだ。























 とにかくこんな新一は、言われた通り暫く放っておくのが一番。







 ・・・そうすれば、落ち着くはず。























「・・・・ぶわっくしゅ!!・・・ああ~・・・・せやけど寒いなココ・・・・・工藤ん部屋勝手に入らせてもろてええかな~・・・」

























 暖房ガンガンなリビング。凍てつく廊下とは天国と地獄の差。

 平次は身体を震わせながら、もういちどくしゃみをして階段を上っていった。 


































Fin