黄金の丘で










「昨日、夢でさ」

「ん?」

「・・・・お前を見た」















 まどろみ。

 少し寒さも和らいできた、午前の闇夜。



 新一の部屋に遊びに来てそのまま泊まった平次は、眠りに入ろうかと言う時に聴こえた声に寝返りを打つ。



















「日本じゃなくてさ。砂漠かな・・・・すげえ暑くて真っ黒な肌して・・・青い服着て黄金の飾りつけてた」

「ほー。そらまたカッコエエやんけ俺。」

「ああ・・・本当に綺麗だった」

「・・・・は?」

















 冗談で言った言葉。なのに、新一が真面目に返してくる。

 平次はついベッドの新一に身を乗り出した。















「お前じゃねえ、景色だ。何勘違いしてやがる」

「な、何やビックリしたがな」

「・・・夕陽が眩しくて、つい目を覆っちまったら・・・・お前は凄く悲しそうな顔してた。何でだ?」

「夢の話されても困るんやけど」

「あ。そりゃそうか」















 枕と布団の間から、ちょこっと見える顔。

 ベッドの横に布団を敷いて寝ている平次の位置からは、よく表情は読み取れない。















「でも気になっちまってさ・・・・お前、涙流してたから」

「泣いとった? お前、夢で俺、泣かしたんか!?」

「知るか。ビックリして目え覚ましたんだ俺は」

「俺、夢ん中まで工藤に虐められとんねんな~」

「・・・・俺がいつお前虐めたってんだ? ああ?」

















 新一は静かに睨む。そして息を付いた。





 夢だから、結局は何を言っても解らないし理解も不能だ。
 そんな事は今更言わなくても知っていた事なのに・・・・


 つい、『ホンモノの服部』に理由を聞いてみたくなってしまった。

























「アホなこと言っとらんと寝えや。俺ええ加減眠い・・・・」





















 語尾が既に消えかけて。

 平次はそのままま目を閉じた。



 新一はくるりと寝返りを打ち、窓に視線を向ける。

 そしてまた・・・・夢の事を考え始めた。























 鮮やかなブルーのシャツ。



 浅黒い肌。
 そして黄金色に輝く・・・・哀しい色を宿す瞳が自分を映していて。

















 それは服部に良く似ていて。



 次の瞬間、頬に涙を見つけた。

























「インディアンの丘、みたいだったな」





























 見渡す限りの地平線。
 吸い込まれそうな夕暮れの空。















 ・・・・左右の線が曲線を描いている事で、日本ではないことを確信して。

































こんなにハッキリ内容を覚えている事が不思議でならない。

夢は、人の深層心理。そんなことも言ってたっけ・・・















新一はもう一度寝返りをうち穏やかな吐息をたてる影を見る。

やがて睡魔が襲ってきて、窓のカーテンを開けたまま眠りについた。


































Fin