台風が近づく








 ここ数日、ずっと雨だった。



 ・・・・・・・と思ったら台風が近づいていたらしい。




























ひとくぎり
































「マジ?」

「・・・・・やっぱ車で来るんやった」

「駅行くまでにズブ濡れになっちまうな~」





















 真面目に一限目から出てきたのに、『教授が来れなくなりましたので本日は休講』と来たもんだ。



 平次と新一はすぐ帰るのも何だから、少し図書館で過ごし軽く学食で珈琲を飲んで、小降りになったら帰ろうと目論んでいたのだが・・・・・・・・・・・

















「どないする工藤・・・・」

「つったって、今外に出たくねえぞ俺は」

「けど本読むの飽きてもうたで~」















 そのまま、しばらく窓に当たる雨を見る。

 風も強くガンガン打ち付けるそれに、ため息を付いた。





 時計を見ると午後2時過ぎ。

 既に1時間以上もここにいて、ひとつの場所にじっとしてるのが段々と耐えられなくなっていた。















「アカンわ。寝てまう」

「・・・・・・図書館行って、寝るか?」

「講堂の控え室行こうや。あそこなら誰もけえへんし、マットあるし横になれるんや」

「――――・・・・・・・・お前、何でんな事知ってんだ?」



















 冷ややかな新一の目。

 平次は慌てて弁解する。













「変な想像しとるやろ! ちょおサボる時使っとるだけやで?」

「別に言い訳しなくても」

「せやかて、お前すぐ和葉に言うやんか!」

「当たり前だ。こんな楽しいネタ話さずにいられるか」



















 ニヤニヤと微笑う新一。



 『和葉』とは平次の幼馴染で、東京に出てきている平次とは違い大阪の短大に通っている女の子である。





















 ・・・・・和葉が平次を好きなのは、ずっと前から新一は知っていた事で。

 平次の方はと言うと・・・・・・・よく解らない。







 この様子からすると惚れてるとしか思えないのだが――――・・・・・・・・・・・























「なら、俺も蘭ちゃんに言うで」

「は?」

「聞いたで~? お前、宮野とよく二人で夜遅うまで研究所にいるんやて?んで・・・・・・一昨日は泊まった言うてたけどホンマ?」

「そ、それは単に俺とあいつの身体の定期検診してただけだ!!」

「・・・・・・泊まりでするくらい時間かかったんか~? 大変やな~」

「変な想像すんじゃねえ! 博士も一緒にいたんだぞ!?」

















 最後の言葉をつい、大声で言ってしまう。

 周りが一斉にこっちを見たのに新一は恥ずかしくなり、鞄を持ち平次を置いて学食を出て行った。



 慌てて平次は追いかける。















「待てて!」

「信じらんねえお前! 大阪に帰れ!」

「また無茶言うて~ 蘭ちゃんと喧嘩しとるん?」

「!」















 面白いくらい真っ赤になる新一。

 相変わらず彼女の事になると、この名探偵は我をなくすらしい。

















「図星かい・・・・・・まあ、喧嘩するほど仲ええっちゅうけどな~」

「うるせえ! 彼女のいないお前に言われたくねえ!」

「・・・・・俺は『いない』んやなくて『作らへん』だけや。そこ間違わんといて」

「付いてくんなっつーの!!」

















 と言われても、こんな面白い新一から目が離せるはずもなく。

 平次はそのまま後を付いていったのだった。




























ひとくぎり



























 外は、ますます強くなる雨。

 二人はそれから図書館で、また口喧嘩を続ける事になる・・・・・・・










































Fin