S.N.A.H.

2004/11/16 平新

 

「・・・いま何時だと思ってやがんだ」
「朝イチで行く言うたやんか。今日もええ天気やな~」

 

 

5月になったばかりの土曜日。
服部平次は満面の笑顔で、工藤邸の扉を開けていた。

・・・新一は寝起きで不機嫌丸出しに睨む。

 

 

現在朝の10時。
ベッドに入ったのは4時過ぎだったから、まだまだ眠くてしょうがない。

 

 

「勝手に入ってろ。俺はもう少し寝る」
「何や。夕べ遅かったんか」
「大学の奴らにコンパ付き合わされてさ。5件ハシゴ」
「ほー。そらお疲れさん」
「昼過ぎには復活すっから、好きにしててくれ」

 

 

ひらひらと手を振り新一は2階へと上がって行く。
平次は『そんなら昼飯でも作って待っとるわ』とリビングへ入ると、勝手知ったる何とやらで冷蔵庫を開けビールを取り出した。

 

 

 


 

 

 

自室に入り、天気が良いからカーテンを開ける新一。

明るくても暗くても眠い時は眠れる。
大きくあくびをすると風を入れる為に窓を開け、ベッドに潜り込んだ。

 

と、その時。
何かがひらりと本棚から風に乗って、新一の頭に舞い落ちる。

取るとそれは写真。

 

 

「・・・・こんなの撮ってたんだっけ」

 

 

眩しそうに目を細めた。
けれども太陽のせいではなく、そこに『新一ではない新一』が写っていたからだ。

 

 

数年前のこの時期。
汐留に出来た43階建ての高層ビルで、あの怪盗キッドが『工藤新一』として現れた時に撮った写真。

久しぶりに戻って来た記念だからと、高校の同級生だった鈴木園子が持っていたデジカメで写したものだ。

 

 

・・・蘭の右側に嫌みったらしい笑顔をふりまく『俺』と、その左側に拗ねた顔した『江戸川コナン』が一緒に存在する写真。

 

 

 

不思議だった。

本当の『工藤新一』は『江戸川コナン』としているのだから、あれはニセモノ。
あれは『怪盗キッド』の変装。

 

 

なのに・・・・

いくら顔をつねっても引っ張ってもマスクとおぼしき物を付けていなかった。

 

 

 

そんなに精巧な特殊技術があるのだろうか?
母親に後で聞いても『変装なんだから顔には何かしら付けているはずよ』と言われてしまい、ますます謎は深まるばかり。

そうなると考えられるのはただ一つ。
彼は、この自分と姿形が酷似している、という事だ。

 

 

 

『怪盗キッド』の正体は、自分と同じ顔をしている人間―――――――――・・・・・・?

 

・・・・そんな事があるんだろうか。

 

 

 

「そういやアイツ最近見ねえな・・・・・」

 

 

『工藤新一』として現れた次の日。
彼は今度、新庄功という俳優として飛行機に乗り込んで来た。

 

しかしその機内で起こった殺人事件の余波により、コックピットで異常事態が発生してしまった。
でもキッドがいてくれたお陰で無事に乗客を助ける事が出来た。

 

 

あいつは、ただのコソ泥とは違う―――――――・・・・・
その理由は何なんだろうか。

 

 

気持ちの良い風が頬を撫でる。
そうして写真を手にしたまま、新一は目を閉じた。

 

 

 


 

 

 

同じ様で同じではないそれらは、決して混じり合う事はない。
水平線で重なっているように見えても、それは幻。

 

 

・・・・『探偵』と『怪盗』のように、それは永遠の幻。

 

 

 

「服部」
「お。起きたんか」
「明日、室蘭に行くぞ」
「は?」

 

 

午後も2時を廻った時、新一がリビングへ入って来た。

ソファで寝っ転がりながらテレビを見ていた平次。
しかし、突然の言葉に飛び起きる。

 

 

「飛行機は明日の10時15分。函館から上って行こうぜ」
「何や、いきなり」
「言っただろ? 白鳥大橋の夜景、今度お前にも見せてやるって」
「・・・そら聞いたけど」
「よし。とりあえず昼メシあるか? ハラ減っちまった」

 

 

満面の笑顔で言われては反論出来る筈もない。
平次は起き上がると、キッチンを指差した。

 

 

「そば茹でといた。すぐ食えるで」
「お前は食ったの?」
「おう。いつ起きるか解らへんヤツ、待ってられへんし」
「そりゃそうか」

 

 

ぺたぺたと素足でテーブルに向かう新一。
平次はその後に続き、珈琲でも入れようと戸棚からカップを取り出した。

 

 

 


 

 

 

「結構、混んどるな」
「この時期はしょーがねえだろ。ほらチケット」

 

 

ANA853便、10時15分発函館行き。
二人は空港で発券を済ませると、待ち合わせロビーの椅子に腰を下ろした。

 

 

「喉渇いたし何か買うてくるわ。工藤も要るか?」
「頼む」

 

 

新一に荷物を預け、平次は後方の売店へと向かう。
色々な弁当を眺めていたその時、背後から声を掛けられた。

 

 

「服部君じゃないですか」
「へ?」
「お久しぶりです。どこか旅行へ?」

 

 

それは白馬探。
警視総監を父に持つ、自分達と同様に探偵をしている青年だ。

しかし、平次は彼が苦手だったから不機嫌な顔をする。

 

 

「・・・まあな。それよりお前は何や? こん時期は海外やて聞いてたけど」
「そのつもりだったんですけどね。急に北海道に行く事になりまして」
「北海道?」
「知り合いの所有する宝石が『ビッグジュエル』の一つだと解ったんです。それを東京の美術館で展示する為に、お借りする事になりまして、札幌まで」

 

 

ビッグジュエル。
それは怪盗キッドという泥棒が狙っている宝石だ。

所有していれば必ずキッドが現れる。
だからこそ話題作りもあり、白馬所有の美術館で一定期間、展示するのだ。

 

 

「そら大変やな。せやけどそこまで喋ってええんか? 俺はキッドの変装かもしれへんで」
「君は本物ですよ」
「・・・何で断言出来るん?」
「少なくとも君よりはキッドを知っているという事です。その『浜焼き鯖寿司』、美味しいですよね」

 

 

機内食は出ないから何か食べるものをと思い、いつも関西空港で買っている『みち子がお届けする若狭の浜焼き鯖寿司』を手に取っていた。

すると、それが二つだからか探が不思議そうな表情で聞いてくる。

 

 

「もしかして、あのポニーテールの子と一緒ですか」
「お前に関係ないやろ」
「確かに。ではそろそろ搭乗時間なので、僕はこれで」

 

 

平次の同行者など興味はない探。
腕時計を見た後で背を向ける彼に、平次は安堵の息を付いた。

 

 

 


 

 

 

飲み物と弁当を二つ買って新一の元に戻る。
少し眠っていたらしい頬に、冷たい紙パックを当てた。

 

 

「っ!?」
「すぐ寝んなや、アホウ」
「夕べも眠んの遅かったし、今日も早起きだし・・・・睡眠時間が足りてねーんだよ」
「8時で早い言うな。それより珍しい奴に会うたで」
「誰だよ」
「白馬や。ビッグジュエルっつー 宝石受け取りに札幌まで行くんやて」
「・・・へえ」

 

 

新一は興味を示したらしい。

さっきまでの眠気は何処へやら。
目を輝かせて平次の話に聞き入るが、気が付くと自分達の乗る便の搭乗手続きが始まっていたから慌てて席を立った。

 

 

 


 

 

 

函館空港。
天気はすこぶる良好で、眼前に広がる青空に出て行こうとする平次を新一は止める。

 

 

「待てっつうの。車借りるんだから、こっち」
「へ?」

 

 

首根っこを捕まれ向いた先はカウンター。
レンタカーの受付らしく、新一は手荷物を平次に渡すと手続きを始めた。

 

 

「何借りるん?」
「ロードスター。明日帰るまで雨も降らねえみたいだし、オープンで行こうぜ」
「そんなんまでレンタであるんか」
「あったんだよ。俺も驚いた」

 

 

新一がインターネットで予約していたのはマツダのロードスター。
何にしようかと探してたら、これを見つけたから速攻で申し込んだらしい。

手続きが終わると車のキィを渡された。

 

 

「んじゃ行こうぜ」
「一泊くらいやないと使えんな、こん車」
「荷物乗せる車じゃねえしな。ま、男二人旅だからこそだ」

 

 

スポーツカータイプは狭い。
トランクは一応付いているが、多くは乗せられないから旅行には向いてないだろう。

何より座り心地が良いとは言えない。
でも選んでしまうのは、やっぱりこういう車が好きなのだからしょうがない。

 

 

「今日は俺が運転する。明日はお前な」
「安全運転で頼むで~ 旅行中に捕まりとーない」
「・・・・」

 

 

無言で睨まれ平次はそっぽ向く。
すると急発進されたから、慌ててシートベルトを締めた。


 

 

 

「ったく。旅先でハラ壊してんじゃねえよ」
「・・・スマン」
「そんなんで夜の美味い海の幸が食えんのか? せっかく北海道に来てるってのに」
「どーやろ・・・」

 

 

走り出して3時間ほど経った頃だろうか。
洞爺湖周辺で休憩して車に乗り込んだ途端、平次が腹痛を訴えて来たのだ。

そうしてトイレから帰ってきた彼。
新一はショルダーから正露丸を取り出し、渡した。

 

 

「水。そこにあるから」
「おおきに」
「とにかくあと少しだ。ヤバくなったら我慢しないで言えよ」
「・・・工藤」
「ん?」

 

 

ギアに手を掛けた時、名を呼ばれる。
しかし次の言葉を待っても何も返ってこないから、新一は『用もないのに呼ぶんじゃねえ』と睨み、そのまま発進させた。

時既に16時。
夕暮れ近い空が、ほんのり赤く視界を染めている。

 

・・・平次は運転する新一の横顔に見惚れた。

 

 

 

「だから何だ」
「何も?」
「だったらこっち見るな。運転すんのに気が散る」
「慣れとるやろ? そん綺麗なカオ、見られる事くらい」
「は?」

 

 

聞こえてきた声へと向く新一。
すると、平次は視線を外さずじっとこっちを見ている。

新一は呆気にとられ『そんなら気の済むまで見やがれ』と吐き捨て、更にスピードを上げた。

 

 

 

 


 

 

 

 

流れる景色。桜、見ごろの季節。
思いのほか暖かい空気が、心地よく頬を撫でてゆく。

・・・信号待ちで停まった時、平次が口を開いた。

 

 

「なあ。キッドってどんな奴なん?」
「何だ突然? 変装の上手い、キザな悪党だろ」
「お前がまだ『コナン』やった時に、何度か『工藤新一』にも化けたんやってな。せやけどマスクらしきモンは付けてへんかった言うてたな。ホンマなん?」
「・・・ああ。それが未だに謎なんだよな」
「くっそー 腹立つやっちゃな。何で俺の前には現れへんねん? 工藤ばっか会うてズルイわ」
「ズルイってお前な・・・・」

 

 

 

平次がふて腐れるのも無理はない。
怪盗キッドは、服部平次の住む関西方面に滅多に現れない。

それでも数年前に対峙する機会があったのだが、自分が怪我をしてしまい叶わなかった。

 

 

「きっとアレやで。世ん中には、三人同じ顔した人間が居るっちゅーやつ」
「俺も考えたよ。姿形が同じなら骨格も似てるだろうし、声だって殆ど変わらないだろうしな」
「まあ工藤は有名人や。似てたら噂になっとるやろうけど・・・・・・多分、ぱっと見は似てへんのやろな。キッドん方は結構な癖っ毛とか、性格も工藤と違てええとかな~? ・・・ちゅうのは冗談としてや。工藤が音痴なんみたいに、あっちもえらい苦手なモンもあったりな」
「そりゃあんだろ。完全無欠な人間なんて居るわけねえ」
「どわ!!」

 

 

吐き捨てる様に言うと、新一はまたアクセルを思い切り踏む。

平次はあわやフロントグラス衝突という所。
真面目にシートベルトを付けていたお陰で、命拾いした。

 

 

「俺コロス気か!? もっと静かに運転せえや!」
「うるせえ。舌噛みたくなかったら黙ってろ」
「・・・なに不機嫌なっとんねや」
「暗くなり過ぎると道解んねえから急ぐだけだ」
「ほー・・・」

 

 

何がキッカケなのかは解らないが、新一の機嫌を損ねてしまった様だ。
こうなると暫く放っておくのが一番。

だから、平次は小さく息を付くと夕陽に視線を移した。

 

 

 


 

 

 

室蘭港、崎守埠頭貯木場。
二人は既に闇濃くなった19時過ぎに目的地へ着いた。

明かりが殆どないから気を付けて車を降りる。
目の前に、白鳥大橋が見えた。

 

 

「ほわー 綺麗やなあ」
「東京と違ってネオンがないから、星もよく見えるな」
「んでもって、あのコンテナんトコ突っ込んだんか」
「本当にあの時は駄目かと思ったよ。クレーンがブレーキの役割をしてくれなかったら、そのまま海に突っ込んでた・・・それに」
「それに?」

 

 

新一が言葉を止めたから、聞き返す。
すると白鳥大橋を背にして彼は平次をじっと見た。

 

 

 

「キッドがパトカーを引き連れて来てくれたから―――――・・・・この埠頭に降りられたんだからな」

 

 

 

視線を外さず新一は呟く。
この灯りも何もない場所で、海面の反射を映しただろう光を瞳に宿して。

・・・・強い風が身体を揺さぶっていた。

 

 

 

「アカンで、工藤」
「・・・何がだ」
「いいトコ見せたかて泥棒は泥棒や。海と空が決して交差せんように、探偵と怪盗も解り合う事なんてあれへん。どんな事しても、犯罪者には違いないんやからな」
「・・・・・」

 

 

 

平次はどこか寂しげに。
でも、冷たく言い切る。

そのまま背を向けて車へと戻る彼。
まだまだ冷える海からの風に身体を震わせ、新一も後に続いた。

 

 

 


 

 

 

例え特別な理由があろうとも。
人のものを盗む行為は、犯罪者に他ならない。

そんな事は『怪盗キッド』自身も良く解っている筈で、だからこそ『何にも変えられない理由』が有るのだろうと新一は考えていた。

 

 

 

・・・・ビッグジュエルに何があるってんだ?

 

 

 

 

怪盗キッドが狙っているのは『ビッグジュエル』という、大きな種類の宝石に限られている。

 

 

けれどもそれに何の秘密があるのか。
どういう理由で、一度盗んだものを再び持ち主に返しているのか。

 

 

多分それは、求めている『宝石』ではないから。
だとすると・・・本当に欲しい『ビッグジュエル』には、一体何が隠されていると言うのだろう?

 

 

 

「・・・どっちにしても、引き返せねえよな」

 

 

 

新一は空を仰いだ。
月が、鮮やかに煌めいている。

すると僅かに――――――――・・・知っている気配が揺れるのを感じた。

 

 

 


 

 

 

「よし。到着」
「疲れたな~」
「運転してねえ奴が何言ってやがる」

 

 

測量山に登ってキタキツネを見たり、地球岬で水平線を眺めたりした二人。
宿泊先である洞爺サンパレスに着いたのは、21時を過ぎた頃だった。

駐車場からロビーに入り、フロントへと向かう。

 

 

「工藤。俺ちょおトイレ行ってくるわ」
「すぐ済むし、部屋で入れよ」
「へ?」
「切羽詰まってる訳じゃねえだろ。ほら、チェックインするから俺の荷物、持っててくれ」
「あ、ああ」

 

 

新一はにっこり笑うと手荷物を渡す。
しばらくして鍵を受け取ると、エレベーターホールへ移動して指定の階へのボタンを押した。

 

 

 

「土曜には花火が上がるんやな」
「そうなのか?」
「それに遊園地風呂ってのもあるんやて。興味あるけど、さすがに海パンは持って来てへんもんな」

 

 

洞爺サンパレスは、全ての客室から洞爺湖畔を一望できる事で有名な宿だ。
それに『夢の温泉大浴場』と『遊園地風呂』など筋肉痛や神経痛・リューマチに効く温泉として有名で、連休ともなると多くの観光客がやって来る。

 

 

二人が泊まるのはクリスタル館の和室。
約10畳のその部屋に入るなり、平次は荷物を置くとそそくさとバスルームに入った。

 

 

・・・新一はその中に向かって声を掛ける。

 

 

 

「なあ服部」
『ん?』
「風呂、先に入って来ようぜ」
『メシはどないするん』
「22時半に部屋に頼んでおいた」
『そーか。なら行こか』

 

 

その言葉と同時にドアが開く。
すると新一がすぐそこに立っていたから、驚いて『どわ!』と叫んでしまった。

彼は―――――・・・表情を変えずに平次を見つめている。

 

 

「な・・・何や、お前も入りたかったんか?」
「腹具合、まだ悪いのか?」
「へ? いや、もう平気やけど」
「なら良かった。今日のメシは『近郊の噴火湾で獲れた魚貝と季節の山菜料理』って言ってたからさ―――――・・・お前、和食好きだもんな。楽しみだろ」
「・・・そやな」

 

 

 

その瞬間、空気が揺れたのを新一は見逃さない。
口の端だけ上げて綺麗に微笑うと、色の変わった瞳を見上げて至近距離で呟いた。

 

 

 

 

「・・・・美味い海の幸が食えねえなんて、損な体質だよなあ・・・コソ泥さん?」
「!」

 

 

 

 

それは正直な気配の変貌。
変装も解かずに『服部平次』から、表情だけが『怪盗キッド』のそれに変わる。

 

 

 

「・・・よお俺がサカナ苦手やて解ったな」
「白馬の奴と服部が会話した内容聞いてピンと来たぜ。ホテル着いてからは、俺の視界からどう上手く消えようかしか考えてなかったし」
「当たり前やん? ぐずぐずしてたらメシになってもうて、嫌でも食わなアカン状況になるからな・・・せやけどトイレの換気口から逃げようなんて思ってへんで?」
「そうかよ。じゃあそろそろ言ってもらおうか・・・・昼に寄ったサービスエリアで服部に化けた、その理由を」

 

 

 

射るような視線。
新一は平次の顔した男の胸ぐらを掴むと、壁に押しつけた。

 

・・・逃げる様子は見られない。
するとキッドは息を付き、座布団を指差した。

 

 

 

「まあ座らんか? 茶でも飲んで、話そうや」
「これ以上お前と遊んでる暇はねえ。メシまで時間もねえし、温泉だって入りたいしな」
「・・・・って事は本物君はもう、ホテルにいるんだ」
「昼にお前が化けた店員から渡された珈琲で少し眠ったみたいだけどな。すぐ気が付いたみたいで、携帯にメールが届いた。そのまま此処に向かったんだ」
「なるほど」
「どーせ睡眠薬も微量しか入れてなかったんだろ。服部の携帯もそのまま置いてたって事は、こうなるのも予測済みだな?」
「どうかな」
「・・・目的は何だ」

 

 

 

平次の顔をしたまま、表情を凍らせる。
声もそのままだったが、途中から関西弁じゃ無くなっていた。

 

 

・・・・遠くを見るように新一を見ている。

 

 

 

「名探偵と話したかったんだ。もう一度、あの場所で」
「え?」
「何でだろうな。俺とお前は『怪盗』と『探偵』。真逆で絶対に交わらない、空と海の関係なのに―――――・・・たまにこうやって話してみたくなるんだよ。でもさ、俺は正体を明かすわけにはいかないだろ? だから色々考えたんだけど」
「・・・それで服部かよ」

 

 

呟く名に、キッドは微笑った。

 

 

「空港の待ち合わせロビーで見かけた時は驚いたよ。俺はヤボ用で札幌まで行く所でさ・・・その後も何かずっと飛行機ん中で落ちつかなくて、着いた途端に洞爺まで戻ってみたらいるじゃん? あとはお察しの通りインター売店の『早瀬ひろみちゃん』って売り子に変装して、西の探偵に睡眠薬を飲ませたあと彼に成り代わってロードスターの助手席に乗ったって訳」
「ヤボ用って・・・・白馬が東京に持ち帰ろうとしてる宝石の事か」
「ああ。ちょっと見て来ようと思ってな」

 

 

見てくる? それだけ?

新一は怪訝な顔をするが、キッドは薄く微笑うだけ。
すると押さえていた筈の身体が目の前から消え、振り返ると窓際に白装束のキッドが現れていた。

 

 

 

「お喋りはこの辺でお終いだ。じゃあな、楽しかったぜ名探偵」
「おい、ちょっと待っ・・・」

 

 

ウインクと同時に指を鳴らし、キッドは眩しい光に包まれる。
部屋を満たす白い煙に新一は咳き込み、気が付くとその姿は消えていた。

 

・・・・残されていたのは一枚の写真。

 

 

白鳥大橋を背にしている、新一の写真だった。

 

 

「あのヤロー・・・・」

 

 

 

消え去った気配に大きく肩を落とし座り込む。
そうして手元の写真に視線を移した。

これは、地球岬に行った時の―――――・・・・

 

 

 

 

「・・・何で俺」

 

 

 

一緒にいる相手が『怪盗キッド』だと解っていたのに、こんな穏やかな顔をしているのだろうか。

 

 

 

「もう一度話したかったのは、俺も一緒だったって事かよ・・・」

 

 

 

認めざるを得ないこの感情。
新一は、小さく微笑った。

 

 

 

 


 

 

 

 

「・・・工藤と白鳥大橋行くんは俺の筈やったのに」
「運が悪かったな。夜景、綺麗だったぜ?」
「それにあのべっぴんなねーちゃんがキッドやったんか・・・ショックや」
「そんなに可愛かったのか。ひろみちゃん」
「へ? 何で知ってんねん・・・その店員んコの名前」
「さあ?」

 

 

キッドが消えた後すぐ新一は平次に電話した。
ロビーの奥で寝ていたらしく、彼は寝ぼけた顔して部屋へ入って来た。

そして二人は広い露天風呂でゆっくりと入浴。
その後、部屋で食事をしながら今までの経緯を話しているのである。

 

 

話題に上っているのは、平次がキッドと入れ替わってしまったサービスエリアで珈琲を売っていた女の子だ。
名札に『早瀬ひろみ』と書いていたと、後でキッドが言っていたのを新一は思い出していた。

 

 

 

「工藤はいつ気ぃ付いたん? 隣の『俺』は『キッド』やて」
「サービスエリア過ぎてすぐかな」
「ほー」
「完璧な『服部平次』だったぜ? 俺以外になら、バレる事はなかっただろうな」

 

 

蟹も魚も本当に美味しく、新一は酒も進み身体が火照ってきていた。
風呂上がりで浴衣に着替えていた胸元を広げ、手のひらで風を送り込む。

 

 

・・・酔い始めた肌の赤さが平次の視線を捕らえた。

 

 

 

 

「つう事は――――・・・キッドはキスのひとつもして来んかったんか」
「そ」
「調査不足やなー」
「お前の部屋か俺の家か、あとは完全に他の人間の気配がない所じゃないとヤバイ雰囲気にはならねえし。監視カメラでも仕込んでねえ限り、俺達の関係は解んねえよ」

 

 

 

新一は箸を置き、思ったよりキている足もとに気を付けながら平次の隣に移動する。
そして自分に向く視線に微笑うと、ゆっくりその顎に手を掛け口唇を重ねた。

 

 

・・・今朝家を出てきて以来のキス。

 

 

 

 

「こーやって迫って来とったらホンマにさせてたんか?」
「ん?」
「そこまで調べられとったら・・・・夜の埠頭とかで、その・・・してきた筈やし」
「お前じゃないって解ってんのにさせるか」

 

 

 

角度を変えて繰り返す口付け。
喉の渇きを潤すように、二人は暫く求め合う。

 

しかし。
平次の口唇が鎖骨に降りてきたのを合図に新一は『それ以上は後だ』と身体を押し、おでこをビシと叩いた。

拍子抜けしたのは平次。

 

 

 

「・・・ココまで煽っといて何やねん」
「後でいくらでも天国行かせてやっから。冷めねえうちにメシ、食おうぜ」
「・・・・・」
「ほら。酒」

 

 

 

でもこの笑顔に勝てる訳もなく。
平次は黙ってグラスを出し、とくとくと注がれる液体を受けた。

 

 

 

 


 

 

 

 

工藤新一と服部平次。
東西の名探偵は、いつからか肌を重ねる関係になった。

 

 

初めは単なる好奇心。
子供が出来る心配もないし、男同士の方が気持ち良いって説もある。

 

 

 

『なあ、試してみないか?』

 

 

・・・・そう言ってきたのは新一だった。

 

 

 

 

身体の相性は最高だった。
二人はそれから、機会がある毎に楽しんだ。

 

 

住む所も通う大学も違う彼らは、それぞれが用事があって近くに来たときくらいに逢う頻度だったけれど。
『恋愛感情』で成り立つ『恋人』という関係ではなく、あくまでも『探偵仲間』の『好奇心』だから――――・・・・

 

 

・・・本当に気楽に快楽だけを楽しんできた。

 

 

 

 

そう。
ほんの、数週間前までは。

 

 

 

 

 

 

「お前・・・・限度ってもん、知りやがれ・・・っ・・・・これじゃ明日、歩けねえだろ・・・・」
「ええやん。運転すんの俺やし」

 

 

 

 

真夜中。
窓から入ってくる月明かりが、二人を照らす。

 

敷かれた布団の上で重なっている身体。
何度目かの波を終えても平次は新一を離そうとしなかったが、訴えてくる上目遣いの視線にようやく腕の中の身体を解放した。

 

 

・・・・新一は肩で息を繰り返す。

 

 

 

 

「何言ってんだ――――・・・見に、行くんだろうが」
「へ・・・?」
「白鳥大橋。それに崎守埠頭と・・・・そうそう、地球岬で丸い水平線眺めて、そこで・・・・」
「・・・工藤」
「幸福の鐘鳴らしながら、キスでもするか?」

 

 

 

地球岬。

それは、もとにあった『ちきう灯台』と『地球が丸く見える岬』である事からそう呼ばれる様になった岬だ。
ここにはカップルで鳴らすと幸せになれると言われている『幸福の鐘』がある。

 

 

・・・・好奇心から始まっただけの関係だった。
好きとか、嫌いとか・・・そういう甘ったるい感情なんて、男同士の俺達にはなかった筈だった。

 

 

でもお前とこうしている事が、今はたまらなく心地良い――――・・・・・

 

 

 

 

未だ落ち着かない呼吸。
新一は、目の前の男を見上げた。

 

確かめ合ったのは春の日。
桜の樹の下で、思い詰めた表情の平次が新一をきつく抱きしめた夜。

 

 

・・・・あの日から俺達は『恋愛感情』で成り立つ『恋人』になった。

 

 

 

 

「ホンマか・・・?」
「俺は、お前と来たいから北海道に来た・・・・目的も果たさずに、帰れるか」

 

 

 

呆けた顔して平次が新一を見つめ返す。

怪盗キッドは、完璧に『服部平次』を演じていた。
見事なまでに性格も言葉も、仕草も笑い方も模写して。

 

でも、ひとつだけ。
『工藤新一』に対しての感情だけを、彼は表しきれてなかった。

 

 

 

 

・・・いや。

もしかしたら、知っていてあえて避けたのかもしれない。

 

 

 

彼は、新一が気付いていたのを知っていた。
新一も知っていてそれに付き合った。

 

 

 

――――・・・・決して重なる事のない空と海を、地球岬から二人は眺めた。

 

 

 

 

 

広がる青空。

煌めく、丸い水面。

 

 

 

・・・・間の『水平線』は、そのふたつを繋ぐもの。

その役割を果たしたのは―――――・・・・・『服部平次』。

 

 

 

 

 

服部。

 

・・・お前は俺達の『水平線』なのかもな。

 

 

 

 

 

「せやけど、どーせ『人目がなかったら』やろ?」
「当たり前だ」
「休みで人が多そうやし・・・・可能性ゼロに近いやん」
「・・・ま、そうだろうな」

 

 

 

眠いのか、ふわわと欠伸をする新一。
そのまま目を閉じる。

 

 

 

「工藤~」
「うるせえ・・・・・・俺はもう寝る。眠い」

 

 

 

そう言うと新一はすぐに眠りに入ったようで、穏やかな吐息が聞こえてきた。
やれやれと、平次は息を付く。

 

 

 

 

「・・・しゃーないなあ。ま、ええか」

 

 

 

 

彼への気持ちに気付いてから。
こんな日が来るとは、思ってもいなかったから。

 

 

もともと好奇心からではなく。
『試してみないか?」と言われるその前から――――・・・・

 

 

 

・・・・服部平次は、工藤新一に惹かれていたのだから。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「何でこーなんねん・・・・・」
「まあ、予感はしてたけどな」

 

 

次の日。
チェックアウトを済ませた二人は、快晴の白鳥大橋を眺めに崎守埠頭へ行った後、地球岬に移動した。

 

 

 

時は12時。
絶好の水平線と、気持ちのいい風。

 

 

・・・更にそこには忙しなく行き来する警官達がいて、いつの間にやら彼らの前に集まってきていた。

 

 

 

 

どうにもこうにも。
夕べ遅くに近くの海で遺体が上がったとの事で。

でもそれが単に足を滑らせたのなら問題にはならないのだが、調べているうちに殺人事件の可能性が出て来てしまい―――――・・・そこにタイミング良くやって来たのが東と西の名探偵だったという訳である。

 

 

 

「工藤さんですか! いや、噂はかねがね」
「どうも」
「そしてあなたが服部さんですね。本当にお会いできて光栄です、それで・・・・こちらが被害者の握っていたものなんですが」
「ほー・・・どれどれ」

 

 

 

全国の警察関係者に顔を知られている彼らは、ひとりの刑事に見つかると直ぐに現場の責任者に紹介されてしまう。

まあ、難しい事件ではなさそうだ。
既に『素モード』から『探偵モード』に切り替わっている彼らは、常備している手袋を取り出すと検証をし始めた。

 

 

 

 


 

 

 

 

「しっかしまー お前も変な奴だな。俺を疑ってるんじゃなかったっけ?」
「疑ってるんじゃなくて確信してるんだ。大体どこに行ってたんだ? 飛行機降りて『ちょっと寄る所あるから後でホテルでな』と言ったまま、結局帰って来たのは夜中だし」
「苫小牧に知り合いがいてさ~ 遊びに行ってたんだよ」
「・・・まあいい。ビッグジュエルはここにあるし、後は君が『怪盗キッド』だという証拠を掴みさえすれば良いんだからね」

 

 

札幌空港。その、ラウンジ。
15時30分発の羽田行きの搭乗時間を待つ青年二人が、そこで向かい合わせに座っていた。

 

 

物腰柔らかな雰囲気漂う方が白馬探。
警視庁警視総監を父に持つ、工藤新一と並び称される若き探偵だ。

対照的にクセの強い黒髪をした彼は、黒羽快斗。
探と高校時代に知り合い、大学も同じ所に進んだので交友が続いているのだが・・・・・

 

 

・・・互いに、本音は隠しつつの関係である。

 

 

 

 

「『天空の涙〈ナチュラル・ドロップ〉』っつー 宝石だっけ?」
「そう。じゃあ預けておくよ」
「なる程? これで今から東京の美術館に着くまでに、もしも無くなっていたりしたら・・・俺が真っ先に疑われるって事か」
「ご名答」

 

 

探は快斗に話を持ちかけた。
このゴールデンウィーク。もし時間があれば、一緒に北海道に行かないかと。

 

 

 

『怪盗キッド』イコール『黒羽快斗』。

この公式に間違いないと探は確信している。
けれども、肝心の証拠がない。

 

 

・・・・だから、このビッグジュエルを快斗に預け反応を見ることにしたのだ。

 

 

 

 

口を開けず優雅に微笑む彼は、そう言うと席を立つ。
快斗も腕時計を見て続いた。

 

 

 

「そろそろ時間か」
「先に出ていてくれ。機内で食べるもの、何か買って行くから」
「お前に任せてたら魚弁当食わされる。冗談じゃねえっつの、自分で食うモンは自分で選ぶよ」

 

 

自分の代金分を握らせ、快斗はさっさと外へ出る。
すると会計を終わらせた探が意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

 

「北海道まで来てるのに、美味しい魚介類も食べられないなんて損な体質だな。克服しないと、色々と不便なんじゃないか?」
「・・・ご忠告ありがとよ。ったく、あいつと同じ台詞吐きやがって」
「あいつ?」
「なんでもねー。行こうぜ」

 

 

 

快斗は宝石を受け取ると同時に確かめた。
探が席を立ち、背を向けたその瞬間に窓からの光で。

 

結果は―――・・・・

 

 

 

 

「今日も天気が良いね。綺麗な水平線が見られそうだ」
「水平線か・・・・・・丸かったなあ、そういや」

 

 

 

快斗は思い出した。
昨日の夜、あの工藤新一と見た水平線を。

 

・・・東京の様に明るくないから真っ暗で。
でも溢れるほどの星の光と月明かりが、水面を照らしていた。

 

 

 

 

空と海を繋ぐのは水平線。
空は海を碧く照らし、海は空の光を受けて煌めき・・・・

 

 

・・・決して存在しない場所で出逢う。

 

 

 

 

怪盗と探偵。
決して交わらない平行線。

 

でも。

 

 

 

 

・・・・いつか語り合える時が来るだろうか?

 

 

 

 

 

あの、綺麗な名探偵と。

半日一緒にいられて楽しかったから。
もっと話したいと、思ったから。

 

 

 

・・・『黒羽快斗』として、いつか。

 

 

 

 

 

 

「どうかしたのか」
「え? いや」

 

 

飛行機の窓から快斗は海を見つめた。
空と雲が、光と共に目に入り込んできた。

 

 

「そうだ黒羽君。今度時間があったら、紹介しておきたい人がいるんだが」
「なんだよ改まって・・・まさか恋人?」
「そうだな。有る意味、君にとってはね」
「は? 俺?」

 

 

冗談を言ったはずなのに、まともに返してくる探。
快斗は拍子抜けの息を付くと視線を空に戻した。

そして。

 

 

・・・・暖かな日差しの中、目を閉じ少し眠った。

 

 

 

 


 

 

 

 

二人の名探偵のお陰で事件は難なく解決した。
しかし余裕を見て出発した筈なのだが、高速が結構混んでいて函館空港に着いたのが最終便が出る30分前。

弁当も食わずに乗り込んだから、羽田に着いた頃には空腹で倒れそうになっていた。

 

 

「もう一泊くらいしてきても良かったんちゃうか?」
「今日中に帰って来たかったんだよ」
「何でやねん」
「・・・明日、何の日だと思ってやがる」

 

 

空港の駐車場に行く前に自販機で珈琲を買う新一。
問われた言葉に、きょとんとする男を睨んだ。

途端、『あ!!』と平次は叫ぶ。

 

 

「そーや・・・工藤の誕生日・・・・」
「忘れてたのかよ? まあいっけど、じゃあ何してもらおっかなー とりあえず鍵開けるから荷物持ってて?」

 

 

買ったばかりのミニクーパーS。
新一は平次に手荷物を預けると、ドアを開けた。

 

・・・乗り込んだ所で深く伸びをし息を付く。
エンジンを掛け、缶珈琲のひとつを平次に渡した。

 

 

 

「おおきに」
「やっぱ自分の車が一番だな。落ち着く」
「買うてまだ一週間と経ってへんやろ。何ゆうとる」
「七日も乗りまくったんだから十分だ。この内装だって結構カスタマイズしたんだぜ? 最高だね」

 

 

ハンドルやらギアやら撫でながら新一は微笑う。
急に面白くない気分になった平次は、口を尖らせた。

 

 

「ほー。俺より落ち着くんか」
「は?」
「昨日はキッドに邪魔されるし、今日は事件に邪魔されるしで俺はちいとも最高やない。その上クルマにまで負けたんやから、サイアクや」

 

 

そうなのだ。
新一は思わぬ形でキッドと話したり、いつもと違う形で平次と過ごせたりで満足していた。

しかし、平次は夜を新一と居られたくらいで目的である観光もまともにしてこれなかったのだ。
ムクレるのも当然だろう。

 

 

「しょーがねえだろ」
「キッドの奴・・・会う時があったらまずぶっ飛ばしたる」
「何でそうなる」
「うっさい。俺に化けて工藤とデートするなんざ・・・・考えたらまたえらい腹立ってきたで」
「・・・はいはい」

 

 

 

やれやれと微笑い、新一は辺りを見回す。
どうやら帰りのラッシュは過ぎたようで、車に向かう人影も殆どいなくなっていた。

 

 

・・・缶珈琲をホルダーに置く。
その空気に平次が気付き、新一に向いた。

その瞬間。

 

 

 

「!」
「・・・・大サービス。あーあ、もしこの車に監視カメラ仕込まれてたら、マスコミのいいネタだな」

 

 

 

 

・・・平次の口唇を新一のそれが掠め取った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

東と西が運命なら、それは必然。

 

 

 

海のブルーが空のブルーを映しているように。
水平線が、それらを繋げているように。

 

 

 

 

 

 

『探偵』と『怪盗』―――・・・・

 

 

 

 

 

・・・・それは永遠に続く必然の関係。

 

 

 

 

 

Fin

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