オセロ

 

「これさ。何か俺たちみてえだな」
「これ
「そ。白と黒だろ。白馬に黒羽。色の名前付いてんじゃん」

 学校。三時間目と四時間目の間の小休憩。
 黒羽快斗と白馬探は、ひとつの机を挟んで向かい合っている。

「成る程。君と僕は表裏一体という訳か」
「あー、そっかそーゆー意味になっちまうな。うわ気色わる」
「失礼だな」

 ぱちぱちとひっくり返す音。
 これは『オセロ』。

 快斗のカバンの中にいつも忍ばせてある、ちいさなオセロゲーム。
 十数分の休み時間の暇つぶしには丁度良い。

「ちっくしょー」
「一分だけ待ってあげよう」
「あ 何々、オセロ

 運悪く、差すところが見つからなく唸っていた時、素っ頓狂な声が割り込んでくる。
 中森青子だ。

「白馬くんが持って来たの
「俺だっつの」
「あら。随分楽しそうじゃない・・・」
「どわっ テメー、いきなり現れんな

 快斗の背後から気配もなく紅子が顔を出す。
 その紅子が、二人をみてくすりと微笑わらった。

「・・・本当にぴったりね。貴方達がオセロって」
「でしょう
「またワケわかんねー事ぬかして」
「あら、だって」

 ちらと様子を見、快斗の耳に小声で紅子は続きの言葉を囁く。

「怪盗と探偵。これ以上の表裏一体はないじゃない」
「あのなあ・・・」

 そう。
 紅子の言ってることは嘘じゃない。

 しかし。
 その時、次の授業開始を告げる鐘が鳴る。

「はい。時間だ」
「ああ
「君の次の手はもうない。だから僕が、ココに置いてひっくり返していくと・・・ほら。もう完全に白の勝ちだ」
「黒羽くんの未来みたいね。白に占領されるなんて」
「何だと
「気を付ける事ね。もうひとつの白き光も貴方に近付きつつあるわ」

 その身を白で纏えど、黒き羽根で夜空を飛ぶ怪盗キッド。
 そして・・・

 この白馬探と同じ『探偵』と称し、この世界のどこかに同じく存在している紅子いわく『白き光の魔人』。

 この前時計台の事件の時に感じた、同じ波長の意味は知りたい。
 そう快斗は、思うのだが・・・

「黒が白になる事なんて有り得ねえんだよ。白は、黒に染まるけどな」
「あ。先生来たよ

 確か俺と同じ高校生だった。
 白馬に聞けば、きっと知っているに違いない。

 けど。

 ・・・どうしてか、怖いと快斗は思ってしまう。

「ん 何か」
「いや」

 怪盗は黒。
 探偵は白・・・

 ・・・黒は決して、白になることはないのだから。

 

[了]

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